慢性疼痛に対する認知行動療法

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慢性疼痛に対する認知行動療法
中島恵子
PTジャーナル・第48巻第12号・2014年12月 P1111-1117






 慢性疼痛と認知行動療法に対して,セラピストの目線でなく,医療心理士の目線で評価方法やアプローチ手順が紹介されている内容である.

 心理部門の評価について,面接による評価,心理検査による評価,ストレス対処,心理部門による認知行動療法として,苦手な場面での社会的技能トレーニング,注意分散トレーニングが簡潔に紹介されている為,読んでみるとなるほどと感じる事が多い.

 評価から治療方針の決定,面接等から心理的変化の過程,その効果判定まで症例を通して説明してあるので,運動療法とは違う関わり方を参考して欲しいと感じた.


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・ 疼痛との付き合い方の学びを目標にチームアプローチの統一する必要がある
1. 安易な心因性の疼痛とせず,痛みあるという部分を受け止め,疼痛コントロール・疼痛との付き合い方を探る体制をとる
2. 疼痛に対し,心理部分の探索を中心とせず,QOLの改善・痛みの管理を探索し医療として関わる
3. チーム全体でサポートしプログラムを構造化する.情緒的な支えの体験・自立を支える
:疼痛→セラピストによる除痛アプローチ,疼痛→薬物療法,疼痛→話の傾聴等と単独での関わりが中心になっている現状があると思う.チームとして慢性疼痛を捉えるかの重要性,疼痛をなくすという単純なものでなく,どのように受け止め,コントロールするかをチームで考える重要性を改めて感じた.


 心理面の回復による身体活動へのアプローチ効果の改善とそのプロセスを説明してある文献は,セラピストが目にする機会は少ないと思う.だからこそ身体面だけでなく心理面からどのように介入するかという選択肢を増やす,知見を増やすという意味で,認知行動療法の心理面の変化を考えられる目線は重要だと感じた.
記事:ひわ

喫煙脳卒中患者と非喫煙脳卒中患者の回復期リハ病棟における調整FIM利得

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喫煙脳卒中患者と非喫煙脳卒中患者の回復期リハ病棟における調整FIM利得
徳永誠、松永薫、江口議八郎、渡邊進、中西亮二、山永裕明、米満弘一郎、
橋本洋一郎
JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.22 No5 P523—528


 脳血管疾患を発症した喫煙者と非喫煙者で、「できるようになって、しているADL(退院時FIM−入院時FIM)」を比較し、回復期リハでの治療効果の差異を研究している内容である。

今研究の指標:「退院時FIM−入院時FIM」
 このFIMを比較する事で、年齢・重症度が近いヒトを喫煙者・非喫煙者とで比較でき、他施設間での症例を比較する事ができるという考えが面白い。

 本研究の本質部分ではないが、喫煙率が男性約30%・女性が約5%と世の中の喫煙者はえらく少ないなと読んでいて思った。

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・発症年齢での喫煙者と非喫煙者に差が出た(詳しい数字は文献参照)
 アテローム血栓性脳梗塞でのFIM指標に差が出た
 予後だけなら 喫煙者>非喫煙者
:文献にも記載してあるが、上下肢・体幹どの部位に障害が出やすいのか?病前の情報の比較はどうするのか、内科疾患を持っていないのか・・・等、条件を整える必要があると考える。1つの理解として、喫煙が脳血管疾患において発症に起因している可能性が高いことは、重要な部分である。

 本文献内にもあるように、喫煙が脳血管疾患の発症・再発とリンクしている事は、情報としても世の中に出回っている。患者様・利用者様はいろいろな情報網から情報をアップデートしている。医療者側はエビデンスに基づいて、喫煙は脳血管疾患の何に影響するのか?どうして悪いのか等、正しい情報を伝えて行く必要があると感じた。

 詳しいメカニズムに関しても、追加研究を期待したい。
記事:ひわ



posted by ひわ at 22:17Comment(0)概論

神経機能回復の基礎過程としてのシナプス可塑性

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神経機能回復の基礎過程としてのシナプス可塑性
幸田和久,柚﨑通介
総合リハ・42巻1号・2014年1月 P19-25







 シナプスの可塑性について,長期シナプスでの分子メカニズム,小脳内のプルキンエ細胞における受容体の機能等,教科書と知見を抜粋して紹介している内容である.

 シナプスに関する研究をしていないセラピストで,「脳」に関して勉強しようかと思っているセラピストへの入り口としては,不向きな玄人思考のないようだと思って欲しい.

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・ 海馬の運動学習
複雑な道を運転しているタクシーの熟練運転手とバスの運転手の海馬の「ある部分」を比較するとタクシーの運転手の方が大きい
:ある部分というのが疑問ながら,長期抑圧(低頻度の刺激を海馬に与え続ける事で,伝達効率が低下してしまう)が関与している.

 その他脳の部位でも
  扁桃体—恐怖条件づけ
  側坐核—薬物の依存
  脊髄後角—神経因性の疼痛
についても小脳プルキンエ細胞との関わりが明らかになっている.詳細は文献を参照して欲しい.

・ 長期増強・長期抑圧の分子メカニズム
シナプス前部変化
 ・・・神経伝達物質の放出確率が変化する
シナプス後部変化
 ・・・神経伝達物質の受容体の数,感度の変化
:伝達物質の量が増えるのか,伝達物質の同一量に対して感度が変化するのかで,長期でのシナプスの可塑性が変化する.変化に対してどのように変化が起こったのかが重要で,シナプス前部か後部かが重要になってくる.

 難しい内容ながら,時間をおいてから読むとまた新しい発見ある内容だと思う.難しいから文献を読まないのではなく,今はここまでしか理解が出来なかったという部分を明確にできるという視点で文献を読むのも一つの方法だと感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 01:51Comment(0)生理学