片麻痺の歩行練習のコツ

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片麻痺の歩行練習のコツ
溝部朋文
PTジャーナル・第47巻第2号・2013年2月 P168-172







 理学療法臨床のコツとして,関節モーメントから片麻痺の歩行を促す原理及び麻痺の捉え方,歩行の考え方のコツが書かれている.

 あくまで本文には答えではなく考え方が書かれており,その運動力学によるアプローチを考える為のプロセス構築が紹介されている為,是非目を通して欲しい文献だと思う.


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・ 歩行とは
立脚側への重心移動→足底から重心を遊脚側へ押す→立脚側への・・・(以降繰り返し)が繰り返されている行為である.
:重心をベースにおいて考えれば,実に的確で簡潔な説明だと感じた.つまり麻痺が生じる事は,重心移動に困難感が生じ,足底からの反力が不十分になるという考え方だと理解した.

・ 荷重時床反力の大きさ×床反力ベクトルと股関節の回転中心の距離
=股関節を内転する方向(詳しくは本文の図を参照して欲しい)
片麻痺により
床反力ベクトルと股関節の回転中心の距離が大きくなる→内転するモーメントも大きくなる
:麻痺側のアライメントの変化により,重心の位置が変化し,安定した立位を保つには,麻痺側の外転により強い出力が求められているという事になる.

 前額面からの説明が多いため,矢状面ではどのような位置に重心があるのか?等を考える必要性がある.運動力学による考え方で,概略を捉える事は患者様がどのように動いているのか?を解釈する上で非常に重要な方法だと改めて思う.まずは,頭の中に絵を想像し,重心がどの位置にあるのかを考慮しながら,「なぜ?」に対するアプローチを考えていく事の重要性を感じる.
記事:ひわ

体幹筋の筋力評価と筋力増強の実際

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体幹筋の筋力評価と筋力増強の実際
田口孝行、中山彰一
理学療法21巻3号 2004年3月 P483-489







 体幹を固定する為に不可欠である体幹筋を評価、増強練習を屈曲−伸展に分けて、年齢別の測定値等のデータとともに紹介してある。
15年前の情報ながらどのくらい色あせているだろうか?否、基本の重要性を改めて感じる。

 体幹トレーニングでは、cybex等の等速性運動ができる機器を用いて、再現性ある動作でデータをとる場合が多いが、
・ 体幹の屈曲−伸展は、脊椎が複合した多軸運動である。
・ 再現性のある運動には、軸心の決定・固定、抵抗部位の統一を要する。
上記2点は体幹の運動療法を行う上で、注意するポイントであることは同じである。

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・体幹屈曲筋の持久力検査
背臥位(膝屈曲90度)両上肢を組み→体幹屈曲し肘と膝が接触する
→肩甲帯が接触するよう背臥位 30秒間繰り返し回数を測定する。
:上記検査は非常に簡便であるが、18歳くらいでピークを迎え、後は加齢とともに連続回数は低下する。詳しい数値は図を是非参考にしてほしい。体幹屈曲の浅・深層を含めた筋収縮だが、体幹の持久力を計測する上で臨床応用しやすい検査だと思う。

・ 体幹筋
屈筋(浅層)
・腹直筋、外腹斜筋
屈筋(深層)
・内腹斜筋、腹横筋、腸腰筋、腰方形筋
伸筋(浅層)
・脊柱起立筋
伸筋(深層)
・多裂筋、棘間筋、横突間筋、最長筋、腸肋筋
 深層筋は脊柱の分節的な安定に関与、浅層筋は脊柱の能動的な運動に関与している。深層筋活動による安定性が得られる事から、浅層のダイナミックな動作に関わる。
弱化している部分は腹筋なのか、伸筋なのか。そして浅層なのか、深層なのか、または複合的に弱化しているのかを正しく評価する事は必須だと思う。

 体幹伸展筋力弱化と腰痛が関与する事は理解しているが、加齢と共に骨の器質的変化もあり、腹臥位が過負荷になりやすい。その上で脊柱安定化運動が紹介されている本文献を是非参考にしてほしいと感じる。
記事:ひわ

posted by ひわ at 23:02Comment(0)運動学

女性腹圧生尿失禁に対する骨盤底筋体操,バイオフィードバック療法

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女性腹圧生尿失禁に対する骨盤底筋体操,バイオフィードバック療法
平川倫恵,鈴木重行,加藤久美子
排尿障害プラクティス Vol.19 No.2 2011 P14-20






 骨盤底筋体操の指導方法やアセスメント方法,事例として症例と難値例に分けて経過と共に紹介されている内容である.

 治療結果に三ヶ月程度の継続を要する体操であり,体操を継続する工夫や方法が本文中に紹介されている為,忙しいセラピストはこの部分だけでも一読をお勧めしたい.

骨盤底筋体操での指導の順序
1. 患者に正しい収縮方法,解剖学的な構造の理解を促す
2. 恥骨や尾骨を患者自身で触れ,骨盤帯の位置のイメージを促す
3. (膣内圧を計測できれば)
4. 動作直前に骨盤底筋収縮を促し,収縮をコントロールしつつ動作を行う.

残った疑問!
体操効果の出る「三ヶ月」という期間についても,人間の筋肉強化の原則と細胞レベルでの変化を考慮すると,即効性での変化と遅効性での変化が同時に生じていると推測する必要があるのではないかと思う.


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・骨盤底筋体操の声かけ
「膣をカラダの中に引っ張り込むよう、膣や尿道を締めてください」
「固い便を肛門で切ってください」
「おならを我慢するようにして下さい」
:どれも同一動作(骨盤底筋の収縮を促す)の声かけながら,患者様の反応と代償運動や肢位を考慮し,どの指示が入力し易いかを会話を交えながら,把握する必要性は高いと思う.

「肥満や自身での収縮感覚が低下していた結果→手術」,の流れが,難治例と表現される事が適切か否かは判断できないが,保存療法で回復方向へ成果が出るのであれば,セラピストとして自主練習を続けていく方法を,患者様に合わせて提案できるよう思考する必要はあると思う.
記事:ひわ