運動が食欲に及ぼす影響

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運動が食欲に及ぼす影響
河野寛 安藤貴史
臨床スポーツ医学:Vol.29 No.9 (2012-9) P893-898






 運動が食欲・体重変動に及ぼす影響について、短期・中長期アプローチを研究に加えて、食欲調整ホルモンの運動との関係が紹介されている。

 今までの自分の経験と文献の情報を照らし合わせて考えてみると、非常に納得点の多い内容だと感じた。経験を理解する機会を得たと言う意味で、河野氏と安藤氏に感謝したい。

運動と食欲の大前提として
身体活動レベルが高い→エネルギーバランス保たれる。
身体活動レベルが低い→過食状態になる。

運動後食欲を抑えても簡単に痩せないのは、メタボリックシンドロームの改善にはマイナスのイメージだが、人間の生命維持においてはプラスともとれる。

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・ 運動介入により、空腹時の食欲・食簿満腹感増加。
→だから運動の後は、腹が減るだけでなく、食べ終わった後の満腹による満足感が高いのかと、自分の経験に即しても納得ができる。

・ 運動強度を上げた直後は、食欲が低下する。
→血漿アシル化グレリン濃度(食欲を増加させる因子)の低下
 血漿PYY濃度(食欲減退させる因子)は増加
:目に見えないけど、しんどい時には食欲がわかないのは、血漿内での変化におけるものと言う事がわかる。個人差があり、一概には言えないが、運動後食欲旺盛ヒトは、運動強度は小さいと考えてもいいようだ。

文末にもあるように、運動と食欲の関係は個人差も大きい。そして、男女差・加齢など、運動と食欲を結びつけるためには考慮する要因が多い。

思春期における食事量の意図的な低下はサルコペニア(低栄養状態)を促すだけで、健康にウエイトコントロールするには、運動強度における生体活動の変化(血漿アシル化グレリン濃度と血漿PYY濃度)を考える必要性と、やはりセラピストにおける負荷の選択の重要性が示唆される。

記事:ひわ



posted by ひわ at 22:56Comment(0)栄養学

低栄養患者における運動機能と栄養状態の変化について-NST群とcontrol群の比較

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低栄養患者における運動機能と栄養状態の変化について-NST群とcontrol群の比較
脇野昌司,藤田修平,田端洋貴,西川智子,武田芳夫,藤本美香,辻本晴俊
総合リハ・43巻1号・2015年1月 P51-57







低栄養患者に対し他職種連携でのNSTが関わった事で,どのような項目に改善が見られたか?また,NSTの一員としてリハスタッフがどのように介入するべきかが書かれている.

NSTは70年代にアメリカで開始し,日本では約20年後に開始され普及したと等,NSTの歴史が書かれている部分は,非常に面白い部分だと思う.

アブストラクトによる情報は,NSTが介入する方が虚弱高齢者に対して効果が高いという内容ながら,本文中の栄養に関する情報が,NSTを導入していない施設においても,スタンダードに知っておくべき内容が書かれている.

運動に関してはBorg Scaleでの運動負荷が紹介されているが,あくまで運動中は主観的な評価が中心となる.運動プログラムは身体活動量(Mets)から算出し,患者様毎に算出したエネルギー消費を考慮する必要がある.

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・低栄養高齢者
 病院:約39% 施設(リハビリを要する):約50%
:虚弱高齢者に対し,運動療法及び栄養補給の単独での介入よりも,どちらも組み合わせて介入する必要性が求められている事は想像しやすい.栄養状態なくして運動はできないと感じていたが,まさに証明しくれている文献だと思う.

考察に書かれているが,入院以前の生活や食事,活動性や倦怠感が低栄養状態の前駆症状として現れる事が多い為,運動と栄養の両側面の要素を聴取する能力は非常に重要だと改めて感じた.

課題として補助栄養の摂取タイミングが挙げられていたが,是非知りたい情報であり,脇野氏の今後の追加研究に心待ちにしたい.
記事:ひわ


posted by ひわ at 07:03Comment(0)栄養学

リハビリテーション栄養学:オーバービュー

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リハビリテーション栄養学:オーバービュー
若林秀隆
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.20 No.11 P1000-1008






 栄養学の基礎から,リハビリテーション職種も知るべき知識,NSTの意義について書かれている.

 アブストラクトが非常にわかりやすくまとめられている為,本文理解若しくは時間のないセラピストは「内容のポイント」だけでも一読をすれば,考えるべき部分があると思う.

5大栄養素
:糖質,タンパク質,ビタミン・ミネラル,脂質

 アミノ酸の分類等,学生時代に生理学で習ったと感じる内容が多いものの,基礎がわかりやすく図を中心に紹介されているので,是非目を通して欲しい内容であり,普段のリハビリテーションに栄養という側面を加える重要性を改めて感じる.

 後半からは具体的なサルコペニアの分類がされており,活動・栄養・疾患合併に分けて,わかりやすくまとめてある.また,単なる低栄養と筋肉量の低下では理解が不十分で,なぜ筋出力や筋肉量が落ちるのかという部分を見直す必要性があると思う.

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・ 低栄養の割合(詳細は本文参照)
病院:40%弱 施設:約50%
低栄養の日本の慢性期脳卒中患者:約70%
急性期病院で廃用症候群の入院患者:約90%
:総説論文での研究結果は驚く程,低栄養の確立が高いと感じた.アルブミン値を測るだけでなく,なぜ低栄養になっているのか,食事を含めた栄養をどのように捉えるのか,どのように他職種(理想はNSTチーム)と連携を取っていくのか等,考えるべきポイントは多岐に渡ると思う.

 飢餓から窒息死に至る経過が図3にまとめられており,いかに人間の筋量が低下し,死に近づくのかが栄養学の視点から書かれている.その飢餓が患者にとって苦痛か否かという部分ではなく,身体的な変化の過程を理解するに至る非常に面白い文献だと感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 07:00Comment(0)栄養学