職場における安全管理

職場における安全管理
山上潤一,加賀谷斉,才藤栄一
PTジャーナル・第48巻第10号・2014年10月 P909-915






 職場においてのインシデント,アクシデントについてどのように考えるのか,事故が起こったらどのように対応するのかが書かれている.

安全とは
「安らかであって危険がない事」という本文中にもあるが,否定的な表現で,危なくないもの程度の定義でしかない.

 ヒューマンエラーは起こりうるものであり,ヒューマンエラー自体が事故の根本原因ではなく,何をヒューマンエラーとするべきか,どこ,どのレベルに問題があったのかを考える必要があるが,その問題点の解釈の違いによって対策も異なる.つまり正しく対応という言葉すら,抽象的であり,どのように集団で捉え考えるのかが大事かという事がわかる.

 コストと安全の向上度や,ノンテクニカルスキルに関して,医療的な技術を求めるセラピストとしての意識とは別に,知っておく知識であり,考え方だと思う.


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・ 個人の意識・能力・注意におしつけ問題を解決する対策では,再発防止は不可能である
:そもそもエラーを「0」にする事は不可能であり,ヒューマンエラーを個人でコントロールはできないと本文でも書かれている通り,個に問題を押し付ける事は,対策でも対応でもない.本来の解決とは,集団で捉えるべきだという部分はこの文献の読みどころだと思う.

 「逃げない,隠さない,誤魔化さない」というヒトとして当たり前のような部分が,アクシデントを責める風習や空気感が,人間の負の部分を促してしまうと文献を読んでいて感じた.セラピストとして誠実である事,失敗を認め,どうすればもっと良くなるのかをチームとして,会社として考え続ける事が重要だと改めて感じた.
記事:ひわ

住宅改修アドバイスのコツ 廊下

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住宅改修アドバイスのコツ 廊下
松葉貴司
PTジャーナル・第47巻第2号・2013年2月







 住宅改修のコツを手すりの構造や高さの位置評価,簡単に自宅での車椅子の操作方法まで軽く触れている内容である.

基本知識のおさらいとして
・ 一般家庭の廊下:78cm(780mm)
・ 手すりをつけた際は:上記に(−100mm程度)

 住宅改修のコツとして手すり理想取り付け位置情報は,紹介している文献は多いものの,この文献の面白い部分は,身体の状態変化にも対応するように,また,手すりに肘をつけて歩く可能性がある場合は,低めに手すりをつける等細かくベテランが気にしている部分の情報が垣間見る事が出来る.

 また,図や写真が多い為,忙しいセラピストはこの図を見て参考にして欲しいと思う.特に車いすの幅員や廊下と建具の幅についても紹介されているのでオススメである.


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・ 廊下の幅の理解
廊下幅の理解も重要ながら,既存の4輪の車いすでなく,780mmの廊下幅から直角に移動する場合,6輪車いすが望ましいが,どちらの車いすも廊下に設置した手すり等が障害物になりうる場合がある.
:重要な事は「狭い→6輪車いす」ではなく,環境設定の方法として跳ね上げ式の手すりや,移動手段の変更も廊下を円滑に通過する為には重要だと言う事がわかる.

 廊下を単なる移動経路でなく,生活上の動線として生活動作を支える部分としての理解が,住宅改修時にどこまで頭が回るのかに直結していると考える.
記事:ひわ

キッチンの整備

環境設定図2.png

キッチンの整備
山崎文子,高岡徹
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.7 2014 P686-690






 環境整備におけるキッチンにフォーカスを当て,症例紹介を基にしてキッチンの整備ポイントやツールの紹介がなされている.

症例における検討点
・ 作業面(まな板を使用する所)の高さ
・ 収納
・ ガスコンロとIHヒーター
・ 費用
「環境設定」だけでなく,「お金」についても触れている部分がこの文献の面白い部分だと思う.費用については,症例でも100万を有に超える金額の為,市町村での給付可能な事業費も知っておく必要性は高いと思う.

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・ キッチンを誰がどの位,使うのかを考える
:キッチンの高さは個々のステータスや身体状況によって異なる.老老介護を例にとってみても,男女問わずキッチンに立つ機会も考慮する必要があり,作業台・コンロ部の高さの調整は非常に重要なポイントとなると思う.

 文献中に紹介されている,センサー付きの水道蛇口やリモコン付きキッチンの換気扇等,モノの進歩による利便性の向上も大いに考える必要がある.スマホやタブレットを使用する団塊の世代が増えている最中,環境の進化も環境設定を考慮する上での選択肢に挙るため,興味を持っている事は重要だと思う.

 食事は生活にとって切り離せない活動であり,食を生み出すスペースの確立も非常に重要であると改めて感じる.キッチンを女性の戦場と呼ぶ時代もあったが,現在は食を生み出す場所であると言う事は間違いないと思う.知らないと提案できないという意味でも,キッチンを改めて考える機会になったと感じる.
記事:ひわ