最先端のエビデンスUpdate—褥瘡ケアへの理学療法の参画—

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最先端のエビデンスUpdate—褥瘡ケアへの理学療法の参画—
杉元雅晴、日高正巳、寺師浩人、吉川義之、前重伯壮、廣瀬秀行
理学療法学 第40巻第1号 P56〜58(2013年)






 褥瘡ケアについて理学療法士がどう関わるべきか、また、褥瘡ガイドライン2012の紹介が簡単にされている。

 理学療法士が褥瘡を捉える上で、創傷の治癒を阻害する因子(TIME)を理解する必要がある。
T:壊死組織、損傷した組織
I:炎症、感染
M:創傷面の感想、滲出液過多
E:段のある創縁

 この文献は慢性創傷や急性創傷のケアの違いやシーティング、物理療法を通しての理学療法士の関わり方が端的に書いてあるため、生活期に関わるセラピストだけでなく、急性期で勤務しているセラピストにも一読をお勧めしたい。

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・ 褥瘡へ電気療法の適応
直流微弱電流、高電圧パルス療法(ガイドライン推奨度B)
超音波(ガイドライン根拠なし、臨床適応はされている)
:どちらも物理療法と言う理学療法士の専門分野であるが、電気療法・超音波ともに統計学的には効果があると示されているが、照射強度・時間・治療位置など、治療法を確立しきれていないのが現状で、追加研究を期待したい。

 杉元氏も文献内に書いているが、診療報酬の請求が難しいという部分が、褥瘡に対して専門理学療法として行うというより、生活指導や療養指導を行う上での+αとして行っていると言う現状に拍車をかけてしまっていると感じる。

 以前より褥瘡に対して、車椅子座位のシーティング、ベッド臥位のポジショニングが理学療法士に求められるポイントである。そして、どのような皮膚状態で電気療法と超音波を行うべきか、皮膚の状態を判断出来る知識も必要だと感じる。
記事:ひわ



posted by ひわ at 23:20Comment(0)褥瘡

褥瘡予防の原点を考える

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褥瘡予防の原点を考える
布川幸恵 横山和子
月刊 総合ケア Vol.11 No.3 2001-3 P90-93






 褥瘡予防について、施設を挙げての業務改善した結果に考察を交えて報告している。

 表として、褥瘡予防の項目に対し各職種の役割がまとめられている。
医師・看護職・介護職・理学療法士・栄養士・相談員が連携することが一目でわかる。相談員による家族への相談まで、褥瘡予防の一項目として挙げていることが、この表のすごい所だと思う。

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一施設の症例の工夫として、
・体位の工夫のみでは、治癒の経過は芳しくない。
・布団やウレタンなどを用いて、局部的な減圧効果では、著しい回復は見られなかった。
・除圧マット、除圧パッドを利用し、体位変換を行う。
等の工夫から、
1. 体位変換・清潔保持でのみでは予防は難しい。
2. 本人に適した離床を促す。
3. 補助具の利用が要する。
4. 観察とケアの即応を要する。

というこの施設のケアが100点というわけではなく、各現場に沿って、複合的を組み合わせ、褥層を予防しうること、そしてスタッフでベターな方法を現場で考えていくことが重要になると感じる。

 一つのモデルとして、施設を通して褥瘡予防対策を参考にするのは非常に面白いのではないか?そして、意見をシェアしていき、手段を増やすことが大事になると思う。
 どの施設も、日々熟慮している訳だから、共有する機会を設ける場が必要だなと強く感じる。
記事:ひわ



posted by ひわ at 22:38Comment(0)褥瘡

褥瘡を考える-神経疾患の褥瘡を考える-

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褥瘡を考える-神経疾患の褥瘡を考える-
岩崎洋
理学療法学 第35巻第8号 450-451頁(2008年)







シーティングクリニック(以下SC)を開設し褥瘡予防、動作指導を行っている。実際の症例からSCが褥瘡に対し再発予防に有用かどうかを考察している。

シーティングクリニックとは
:褥瘡のできてしまった障害者に対し、接触圧測定後、そのデータから、車椅子・クッションの選択、製作、動作指導(減圧や除圧)を行う。
適応
  :脊髄損傷、二分脊椎(歩行可能)、脳挫傷、脳血管障害などの褥瘡

短期間でのSC効果より、3年以上で褥瘡再発数が少なくなり、5年では予防に期待できること(詳しい数値は文献参照)は、褥瘡に対する対応としては十分といえるのではないかと考える。

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・ 治療対象の症例に対し、
1. 知覚鈍麻
2. 立位・歩行可能
3. 十分な動作指導を行っていない
が共通要素である場合、褥瘡が生じにくいのかについて、筆者の考察が述べられている所が面白い。
:除圧(減圧)動作が可能で、近くが保持されていれば(鈍麻でも)、阻血状態になる前に疼痛が生じ、自主的に除圧を行うため、褥瘡が生じにくい。
考えてみれば納得だが、簡潔に考察が書いてあるのは珍しい。

・ 10~15秒のプッシュアップによる褥瘡予防に対する除圧効果のエビデンスはなく、除圧より、加圧部分の姿勢を変えることが勧められている。また、岩崎氏のSCでは褥瘡の減圧指導(National Pressure Ulcer Advisory Panel:NPAUP)を15分置きとし、連続座位時間を1時間と限定している。

歩けるから褥瘡が出来ないとか、動ければ褥瘡はできにくいなどの短絡的な理解ではなく、維持期と言われる傷病から何年もたった疾患に、褥瘡を起こさず楽しく生活していただくにはどうしたらよいのかを考えたときに、SCは面白い方法の一つだと考える。
記事:ひわ



posted by ひわ at 22:33Comment(0)褥瘡