嚥下障害患者に対する神経筋電気刺激の効果

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嚥下障害患者に対する神経筋電気刺激の効果
北裏真己
PTジャーナル・第50巻第3号・2016年3月 P277-282






 嚥下障害に関し神経筋電気による治療を行い,その治療効果について運動の目線と感覚レベルでの効果について分けて書かれている.

 舌骨上筋群等なかなか教科書で覚えにくい部分を,解剖学的な図と共に紹介されている部分は、非常に読みやすい部分だと感じた.

 この文献の読みどころは,大規模研究や海外研究の原著論文から神経筋電気刺激に対しての情報が集約されている部分と,脳卒中後の嚥下障害に対してメタ分析が一つの表にまとめられている部分だと思う.

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・ 嚥下障害の多くは筋力低下との関連性があり,廃用予防を含めて神経筋電気刺激を早期よりする事が望ましい.
:ただし,「おわりに」にも述べられているが,単に筋力だけの問題で解決しないのは確かだと思う.その為に現行の治療法,そして治療を行うに当たる評価の重要性を改めて感じる.

・ 嚥下障害の原因の一つにサルコペニアが上げられている
:全身の筋量の低下と嚥下障害の関連が研究されているが,嚥下を一つの筋活動と捉えれば矛盾はないが,その為に取り得る姿勢・動作・環境と考えるべきポイントは非常に多いと思う.

 嚥下治療に関して,STによる直接的な介入以外に,PT・OTが関わる機会は多いと思う.その為には,物理療法の一方法である神経筋電気刺激の効果を知り,適応となる患者様へ選択肢として提供する事は非常に有用と考える.

 「おわりに」で北裏氏が述べているが,口から食する事は栄養補給だけでなく生きる喜びでもある.だからこそ嚥下障害の克服は,患者様の尊厳に関与し,理学療法士の介入は急務である.だからこそ何ができるのか?を考える事が,ここのセラピストの質を高めることだと感じた.
記事:ひわ



褥瘡に対するTENSの効果

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褥瘡に対するTENSの効果
岩元英輔
PTジャーナル・第50巻第3号・2016年3月 P283-288






 褥瘡に対してTENS刺激の効果について,皮膚から褥瘡のみかた,TENSの適応条件,治療目的別有効性が考察されている内容である.

 TENSの刺激条件も刺激部位や周波数,強度,時間も著者の考え方と共に書かれており,TENS刺激が可能な機器さえあれば,すぐに実践でき参考にして欲しい内容だと思う.

 文章の全体的な読んだ感想として,非常に読みやすく書かれており,小説を読む感覚で読み進められる流れであった.

 後半の炎症の制御や疼痛緩和の部分は,TENSの可能性を感じる内容であり,ガイドラインに即した考え方に加え,創傷における炎症制御の臨床試験の期待等も書かれている.日進月歩で褥瘡治療研究が行われており,自分の情報をアップデートしなければならないと感じた.

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・ 欧米における褥瘡は肥満が原因,日本では低栄養での骨突出が原因
:発生様式の異なる海外文献による効果を,そのまま日本でのすべての患者様へ物理療法の対象としない為に,知識としての理解と評価する能力が求められると感じた.

・ 施設別の低栄養患者様の割合
病院:約40% 老人ホーム:約15% 在宅:約5%強
リハビリテーションの専門施設:約50%
:サルコペニアの指標として,
 上腕周囲長→体脂肪量と筋肉量
 上腕三頭筋皮下脂肪厚→エネルギー蓄積指標
 腓腹部周囲長→骨格筋量
定期的な観察の必要性に加え,回復期だけでなく動作性を上げるべき状態にある方が,低栄養状態であれば改善の遅延も考慮に入れた上で,治療プログラムを立案する必要があると思う.そして,上記の指標を再評価する事で,簡易的ではあるがセラピストが治療中に栄養状態を含めた,改善傾向にある状態か否かを判断するヒントになると思う.
記事:ひわ



脳卒中片麻痺患者における感覚障害に対する物理療法

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脳卒中片麻痺患者における感覚障害に対する物理療法
生野公貴
PTジャーナル・第48巻第9号・2014年9月 P835-842






 感覚障害についての基礎から,物理療法をどの病期で,どの部位に,どのパラメータで使用するかについて,文献がまとめられている内容である.

 脳卒中後遺症,多発性硬化症等の疾患別や温熱,寒冷,抹消神経電気刺激に関して治療別でまとめられているレビュー文献に近い内容の為,是非参考にして欲しいと思う.

 能動的な感覚練習(感覚機能再教育にかんして明確な目的を持った介入)に加え,物理療法を検討する事は,理学療法士であれば運動療法と物理療法の2大柱をどちらも配慮し考えるべき部分だと思う.また,作業療法においても,能動的感覚練習を生活に結びつける事,そして,物理療法を理学療法士と協働することも治療方針になると感じる.

 脳卒中後遺症に感覚障害を有している患者様に対して,病期,介入部位,その結果が表にまとめられているので,忙しいセラピストでも一読はお勧めしたい.

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・ 感覚機能改善目的での物理療法は,病態の分析,物理療法の生理学的作用を踏まえなければ効果が出ない.
:運動療法と比較して,再現性の高い治療法が物理療法だが,病態の理解に加え,治療部位や治療選択,治療機序の理解は,セラピストとして知っておくべき知識だと改めて感じた.知識をつける事で治療成果が上がる分野であり,ルーティンでホットパック等の物理療法を施行しているセラピストとの治療成績が開く分野だと思う.

 複雑で解明の遅れている感覚機能障害だからこそ,物理療法を考える上で,「脳卒中後遺症だからこの治療法を」「痛いからこの治療法を」という考察に目が向きがちだが,大まかな疾患や疼痛だけでなく,脳梗塞後遺症に伴う感覚障害で,手指ではこの治療法が有用な成果が出ている等,具体的に考える必要性があると思う.物理療法を再考する上で非常に面白い内容だと思う.
記事:ひわ