プラスチック短下肢装具の適合

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プラスチック短下肢装具の適合
島津尚子
PTジャーナル・第48巻第5号・2014年5月 P449-456





 短下肢装具の基礎知識から,装具作成の流れ,AFO装着下での動作確認のポイントについて書かれている.

 装具装着の際の基本である3点固定や,プラスチックの可撓性,制動・固定・遊動が図と共に説明してある為,復習も兼ねて読んで欲しい.また,靴を履いた状態でのAFOの関係性について書かれており,装具学の教科書ではない実践的な着眼点として面白い内容である.

 装具装着下での歩行確認のポイントが各歩行周期に分けて書かれており,異常方向における原因の一端も表にまとめて紹介されている部分は,忙しいセラピストも一見して欲しいと思う.

 この文献の読みどころとして,異常歩行や歩行分析によるコツが書かれている文献はいくつも目にするが、装具装着下での「立ち上がり動作」の着眼点については、言及している文献も少ない為、非常に面白いと思う.


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・ AFOの足関節軸と生理的足関節軸が一致しない事による歩容の影響がある
:プラスチックAFOと継手付プラスチックAFOの適応と装具毎の運動軸に対する生理的運動軸が表で説明してある為,文章ではややこしくなる事も図を見ると一目瞭然である.装具の適応も紹介されているが,短所である部分もある為,個々の患者様の残存能力に応じた装具採型の考慮する必要がある.

 装具作成の全てをセラピストが担うわけでなく,医師・義肢装具士との連携が重要だと思う.島津氏も文中で触れているが,セラピストとして歩行分析や荷重時の重心動揺の有無・残存能力と予後を予測した上で,より良い装具となるような意見の提示や装具装着時の状態の評価,装具の経年劣化も含め考えるべき点は多いと思う.
記事:ひわ





posted by ひわ at 01:10Comment(0)装具学

歩行支援機器の現状と未来

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歩行支援機器の現状と未来
大畑光司
PTジャーナル・第49巻第10号・2015年10月 P883-888






 歩行支援機器がどういう存在であり,今後どのように発展してくのかについて,現状の歩行支援機器の分類からセラピストの展望に触れている内容である.

歩行支援の分類(詳細は文献参照)
機能補完
:杖や歩行器等,使用により歩行能力を高める歩行支援技術
トレーニング支援
:平行棒,トレッドミルやロボットアシスト歩行等,トレーニングを目的とした歩行支援技術
歩行支援を2つ分類しており,歩行というキーワードから感じる事が,セラピストとしてあると思う.本文では各分類のジレンマ,効果検証という流れで書かれており,非常に面白い内容だと思う.

 「歩行」というのは,移動の1つの手段であり,ICFの観点から歩行支援をどのように捉えるのかについて書かれており,面白い切り口の文献だと感じた.また,AS neededという考え方は,大畑氏が簡便で非常面白い内容のため一読をお勧めしたい.

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・ 例として,下垂足にAFOを用いる事で歩行機能を援助する環境を整えるという一方で,装具による固定から立脚初期の足関節接地等,歩行機能の底上げとその対側の効果というジレンマがある.
:セラピストである以上常に悩みぬく選択の一つであるが,機能補完を目的とする歩行支援において,改善傾向に繋がるという著者の推論は必見である.最終的には,患者様の残存能力と環境等,ICFの視点で考慮すべき部分もあるが先輩の推論を垣間見る面白い内容だと思う.

 歩行器支援機器におけるセラピストの役割に関して,納得の内容が書かれている文献である.ヒト対ヒトである医療・福祉において,セラピストが繋ぎの仕事ができ,そして,歩行支援機器は手段の一つである事に関して,忘れてはならないと改めて感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 22:46Comment(0)装具学

理学療法と下肢装具

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理学療法と下肢装具
吉尾雅春
PTジャーナル・第51巻第4号・2017年4月 P281-289






下肢装具の在り方を,脳卒中を例として背景・運動学習・脳のシステムという視点でまとめられている内容である.

「はじめに」から,下肢装具の多岐にわたる使用の可能性を説明しているが,特筆すべきは装具療法として用いる為に,装具の特性だけでなく,脳のシステムを念頭に置き評価,治療戦略を立てる必要がある部分だとである.

障害の状態を評価する必要は当然あるが,なぜその動きが出るのかを神経系を中心とした解剖学で理解する事は,セラピストとして必須の目線であると文献を読んでいて強く感じた.さらに本文では直立二足歩行の起源から,脳血管障害患者に対して早期からアプローチする重要性を,評価から治療負荷を見定める知識・技術が大切である事も書かれているので,自分のメンタリティを原点に戻してくれる非常に面白い内容だと思う.

運動学習の4要素
① 課題難易度の調整
② 充分量の確保
③ 転移
④ 興味があり且つ意味のある課題の設定

生活期に向けた下肢装具という今まで着目の少なかった視点で書かれており,装着と足関節をキーワードとして,急性期・回復期で尽力しているセラピストを含めて一読をお勧めしたい内容である.

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・ 股関節と寛骨・骨盤帯において,股関節への荷重から大腿骨頭の大腰筋腱の圧迫を考慮する必要があり,その賦活条件としての膝関節の伸展がポイントとなるから,発症からの時期と身体機能を評価し,長下肢装具・短下肢装具による制御が必要である.
:寛骨-股関節-膝関節-足関節の連動した動きの重要性はどのセラピストも求め推論を立てている点ではあるが,吉尾氏の言語化は端的に且つ納得の内容であり,担当患者様の治療に悩んだ時こそ再考するべき在り方が書かれていると思う.

治療という方法を用いてヒトへの関わりを考える上で,装具の可能性が明確になっている.運動麻痺に対して脳のフィードフォワード制御を例に挙げ,障害部位から考える推論の立て方,セラピストの関わり方が書かれている. 「おわりに」で「脳のシステム障害による問題は単なる片麻痺という表現を超えた現象」というこの文献の肝を表しており,視点や思考ポイント等,読み直す必要の高い文献であると感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 00:09Comment(0)装具学