胸椎のキネマティクス

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胸椎のキネマティクス
藤森孝人 菅本一臣
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.2 2014.2 P110-114







 胸椎のキネマティクスとして,図や3次元動画のQRコードを用いて説明している文献である.

 胸椎の解剖学,アライメント,バイオメカニクス,カップルドモーションの大項目で説明してあるので,胸椎の復習に非常にわかりやすい内容だと思う.

 QRコードで3次元での骨の動きを,スマホ等で見ることが出来るのが斬新で,紙媒体での文献からデジタルとの融合と言う意味でも面白いと感じる.


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・胸郭・肩甲帯に囲まれているTh3~6付近は,力学的に最も安定している部分であり,外傷性の骨折は少ないが胸郭があることで不安定性を生じることもある.
:体幹の上部での臓器をホールドする機能が,質量と表面積を大きくしてしまうため,円背やアライメントに変化が起こってくると頭頸部での代償しやすくなるのではないかと文献を読んでいて感じた.さらに,各椎間内での動きは運動方向に対して2度程度(詳細は文献参照)なので,臍部より高位でアライメント上安定性が高いため,自由度の高い腰椎=疼痛を起こしやすいという考えにも至った.

 腰部や肩甲帯周囲への疼痛を訴えられる方と接するセラピストは多いと思う.だからこそ,安定性の高い胸椎を評価出来ることは重要であり,その解剖学の理解は必須だと思う.3次元での試みも含め,是非一度目を通して欲しい文献だと思う.
記事:ひわ
posted by ひわ at 00:34Comment(0)解剖学

視床と周辺の機能解剖

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視床と周辺の機能解剖
吉尾雅春
PTジャーナル・第52巻第5号・2018年5月 P389-396





 視床の機能解剖から回路・経路に関して,簡略にまとめてある内容である.

 「はじめに」にて吉尾氏が述べているように,視床出血患者の理学療法に重要と思われる情報を紹介・理解の一助とするとあり,まさに理解しているようで実は理解しにくい視床をわかりやすく説明している内容である.
 しかし,視床を理解するには,基底核や小脳とのネットワークの理解,視覚経路もある為,「脳」に関して,全体像がぼんやりと見えたレベルのセラピストにオススメする.

 視床に隣接する構造の説明(視床下部,視床上部,内包),視床の核と神経連絡の説明,脳のネットワーク(基底核,小脳,視覚経路)と8ページの中に凝縮した内容ながら,図も多く英語の部分も日本語での補足がある為,じっくり読み込むようなタイプの文献であり,教科書と照らし合わせて複数回読見込む必要があると思う.
個人的には図6左視床核の入出力が相互の伝達に関する関係性が一覧できる為,一読を推したい.

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・視床の概略
視床は脳幹と終脳の間に存在し,間脳の中心的な存在である.大脳皮質に伝えられる情報の中継核・基底核や小脳ネットワークの一部をなす神経核の集合体である
:内外問わず体性感覚に関する情報の集約から伝達する為の中枢部であるという理解が重要だと思う.そこからの詳細な説明は本文献に余す事なく書かれている為一読を薦めたい.

 「おわりに」で述べられているように,視床出血→体性感覚障害と言う短絡的な理解でなく,血腫の大きさと拡がる方向により評価,プログラムを立案する必要がある.視床だから感覚ね!という臨床推論における情報の間違いにもなってしまう理解は修正するべきで.本文献の情報による,自分の理解していた「視床」に関して知識の修正とアップデートを行っていく必要性が高い.
記事:ひわ



posted by ひわ at 14:44Comment(0)解剖学

前鋸筋の上部筋腹の形と位置および筋連結

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前鋸筋の上部筋腹の形と位置および筋連結
河上敬介、宮津真寿美、縣信秀、磯貝香、小林邦彦
理学療法 第24回第5号 2007年5月 P659-663






 前鋸筋(特に上部筋腹)の解剖学的な位置、筋連結を多数の写真を用いて、説明している内容である。

前鋸筋(上部筋腹)
:肩甲骨−体幹をつないでおり、肩甲帯の動作性と体幹の安定性に働く。
 胸郭外側面を2/3を覆うように走行している。
 筋連結起始周囲:外腹斜筋、小胸筋
 筋連結停止周囲:肩甲挙筋、大・小菱形筋

 前鋸筋の触擦可能な部位と実際の触擦方法、外腹斜筋の筋連結が図を用いてわかりやすく説明してあるので、前鋸筋を詳しく知らない方にお勧めしたい。

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・ ラジオ体操における、身体をねじる運動は、前鋸筋と外腹斜筋の同時伸張を図る肢位である。
:音声で体操方法を伝達しているラジオ体操だが、効果的に行う事で無意識に前鋸筋上部筋腹と外腹斜筋の同時ストレッチングを行っているため、ラジオ体操の再考の重要性を感じる。

 前鋸筋について図を中心に記載されているため、日常の臨床現場で、体幹の安定性の獲得に悩んだ時に、すぐに手技を考えるのではなく、前鋸筋も選択肢にいれて、解剖学から復習して理解・応用して欲しい内容だと思う。
記事:ひわ



posted by ひわ at 23:02Comment(0)解剖学