神経機能回復の基礎過程としてのシナプス可塑性

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神経機能回復の基礎過程としてのシナプス可塑性
幸田和久,柚﨑通介
総合リハ・42巻1号・2014年1月 P19-25







 シナプスの可塑性について,長期シナプスでの分子メカニズム,小脳内のプルキンエ細胞における受容体の機能等,教科書と知見を抜粋して紹介している内容である.

 シナプスに関する研究をしていないセラピストで,「脳」に関して勉強しようかと思っているセラピストへの入り口としては,不向きな玄人思考のないようだと思って欲しい.

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・ 海馬の運動学習
複雑な道を運転しているタクシーの熟練運転手とバスの運転手の海馬の「ある部分」を比較するとタクシーの運転手の方が大きい
:ある部分というのが疑問ながら,長期抑圧(低頻度の刺激を海馬に与え続ける事で,伝達効率が低下してしまう)が関与している.

 その他脳の部位でも
  扁桃体—恐怖条件づけ
  側坐核—薬物の依存
  脊髄後角—神経因性の疼痛
についても小脳プルキンエ細胞との関わりが明らかになっている.詳細は文献を参照して欲しい.

・ 長期増強・長期抑圧の分子メカニズム
シナプス前部変化
 ・・・神経伝達物質の放出確率が変化する
シナプス後部変化
 ・・・神経伝達物質の受容体の数,感度の変化
:伝達物質の量が増えるのか,伝達物質の同一量に対して感度が変化するのかで,長期でのシナプスの可塑性が変化する.変化に対してどのように変化が起こったのかが重要で,シナプス前部か後部かが重要になってくる.

 難しい内容ながら,時間をおいてから読むとまた新しい発見ある内容だと思う.難しいから文献を読まないのではなく,今はここまでしか理解が出来なかったという部分を明確にできるという視点で文献を読むのも一つの方法だと感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 01:51Comment(0)生理学

視覚認知と理学療法評価

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視覚認知と理学療法評価
塩田琴美
理学療法30巻7号 2013年7月 P762-769






 視覚と脳の関係,眼球の動きと姿勢制御等の項目に分けて,理学療法への応用が紹介されている内容である.

 基本的な視覚情報の処理,眼球運動,視覚での注意とは,姿勢制御と視覚の認知という大項目があり,わかりやすく且つ読み応えのある内容となっている.

 網膜から大脳皮質への視覚経路(2つ)として,視覚情報の処理の基礎が図とともに紹介されているので,非常にわかりやすいと感じた.
・ 腹側経路:形・色等の対象が何かを知覚するシステム
・ 背側経路:空間や動きから対象がどこかを知覚するシステム
さらに上記経路での障害される事で,代表的な認知障害が表にまとめられており,この部分だけでも一読の価値は高いと思う.

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・ 半側空間無視の理解
無視側の刺激を含まないと視えない錯視が生じる場合や,無視側の刺激により後からの刺激が促通または抑制される場合等,無視側も刺激が認知処理されているのに,視覚認知処理過程のどこで注意が欠如するかは未解明である.
:つまり,半側空間無視は症状であり,その症状によりメカニズムの変化や「無視」という一言では片付けられない事がわかる.現場において,半側空間無視を有する方への対応も個々で評価し,データの集積を要する分野である事が示唆されていると思う.

 アブストラクトに「視覚認知は,視覚情報から自己と環境の関係性を判断・解釈するプロセスである」と紹介されており,環境や状態に合わせて調整する事が前提である事がわかる.効率の良い動作を考える上で,視覚認知は重要な要素であり,理解を深める必要性を改めて感じる.
記事:ひわ



posted by ひわ at 14:42Comment(0)生理学

感覚機能の解剖と生理

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感覚機能の解剖と生理
渡辺雅彦
PTジャーナル・第48巻第9号・2014年9月 P801-808






 題名が表す通り,感覚機能における解剖学と生理学の基本を図とともに紹介している内容である.

  脳血管疾患を有する患者様に関わるセラピストが,知っておかなければならない最低限の情報であり,リーズニングを思考する上での屋台骨になる情報が8ページにまとめられている.

 教科書に戻って復習するべき内容を,端的にかつ分かりやすくまとめている文献の為,感覚という言葉の意味を覚えているつもりや忘れたかもと少しでも感じているセラピストには一読をお勧めしたい.

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・ 神経系機能システム
感覚系・運動系のインターフェイスとなる統合系の発達が,大脳皮質の拡大に繋がり,その結果感覚運動能力においてその他動物に劣っているヒトが,動物界の最上位に君臨している.
:大脳の発達から,地上での生命について書かれているが,統合系の発達こそがヒトがヒトたる所以だと思う.そして,統合系になんらかの不具合が生じた際に,セラピストとしてどのような対応かを考えるのも統合系であり,関わりは運動系,感覚系,統合系にアプローチしていくことになるなと改めて感じた.

・ 感覚器の基準
神経機能と神経支配(体幹四肢か内臓系か?等)及び神経情報の方向性で分類されている.
:非常にシンプルな分け方ながら,分類していくと患者様の何が問題なのかを考えるヒントになると非常に感じた.当たり前を当たり前に解釈するのではなく,文字数が限られた文献の中に紹介されている内容の為,現場に応用の効かない文章はほとんどないと,本文献から改めて学んだ.

 「基本程難しい,だからこそ大事」という当たり前を思い出させてくれる文献だと思う.
記事:ひわ



posted by ひわ at 07:09Comment(0)生理学