脊椎椎体骨折と脊柱後弯変形のバイオメカニクス

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脊椎椎体骨折と脊柱後弯変形のバイオメカニクス
坂本二郎,田原大輔,村上英樹,川原範夫,冨田勝郎
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.12 P1148-1154






 題名の通り椎体骨折と後弯変形に対して,脊柱の基本から椎体骨折の解析,バイオメカニクス目線での骨折予防について書かれている.

 脊椎動物の進化から力学的特徴が書かれている点が,斬新で非常に興味を引いた.

 この文献の面椎体骨折の解析として,縦方向へ1000Nの力を加えて圧縮し,椎骨の力学特性を図とともに参照して欲しい.

 忙しいセラピストであれば,アブストラクトに類するQ&Aで,脊椎アライメント異常による弊害の疑問に答えてくれるような内容になっている為,忙しいセラピストはこの部分だけでも一読をお勧めしたい.

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・ 脊柱の力学
高い可動性=荷重の複雑さ
:安定の対義に可動があるのと同じく,可動性が高いという事は,荷重時の複雑さを伴うという部分が,当たり前のようで気づいていない部分であった.

・ 第12胸椎椎体骨折(骨粗鬆症)患者が姿勢改善・視界確保による代償姿勢をとると,直立〜屈曲位では脊柱起立筋の筋出力が大きくなり,次いで椎体にかかる力が大きくなる.
:骨折による代償姿勢が,さらに悪化の経緯をたどるという部分は,セラピストとして考察していかないとならない部分であり,解析データによる医学的証明がなされているのであれば,是非知るべきであると感じた.
 
 患者様を評価し,推測や考察を元に治療を行い,医学的エビデンスに基づく改善と回復におけるリーズニングをするプロセスが求められているが,この文献は推測・考察から治療プログラムを立案するまでの思考を助けてくれる内容になっていると思う.
記事:ひわ




皮膚感覚と運動療法

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皮膚感覚と運動療法
中野英樹,森岡周
理学療法 30巻第4号 2013.4 P423-431






 皮膚感覚と運動療法として体性感覚野に対する解剖学的な基礎知識から,情報処理機構,その知見からの運動療法の提案がなされている.

 一次体性感覚野をキーワードとして,解剖学・可塑性という脳科学,運動学習について,丁寧に書かれているため,難しい内容ながら,脳血管疾患の患者様に関わるセラピストには是非一読して欲しいと感じた.

 文章での内容は難しい所もあるが,図が補足と共に紹介している為,脳の機能学的な復習と脳の可塑性の理解をするには非常に適した内容だと思う.

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・ 脳のない生物は無数存在するが,皮膚が内政物は存在しない.
:文頭が上記文章から始まっており,個人的に非常に目を引いた.脳だけが動き出すとすればその細胞膜皮膚と表現する可能性があるため,皮膚の存在がない生物はいないと,まさに腑に落ちた.

・ サルでの実験ではあるが,神経の可塑性に関して受動底に起こらず,環境との相互作用で,個々の注意や関心・意思に左右される.
:意味のある情報を得た時に,(能動的に注意が向いた時)体性感覚野が機能する事は,リハビリテーションプログラムを考察する上で,患者様にフィットする運動療法を模索し,能動的な注意が向かないと治療効果も小さいのではないかと理解した.

 この文献を読んだ解釈として,運動療法や脳の可塑性,運動学習について研究・考察している文献は多いものの,皮膚の表意感覚の改善を第一に考察している文献は少ないと感じている.

 体性感覚と運動療法と言う視点は,表在感覚の回復にはやはり動作や関節を目的通りに動かす事とリンクしている事に「リハビリテーションのもつ可能性」を強く感じた.

記事:ひわ



筋力増強運動における運動速度と収縮様式の違いが骨格筋の微細損傷に及ぼす影響

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筋力増強運動における運動速度と収縮様式の違いが骨格筋の微細損傷に及ぼす影響
小林拓也,中村雅俊,梅垣雄心,池添冬芽
理学療法学 第41巻 第5号 2014 P275-281







 筋力増強運動とその収縮種類が,筋の微細損傷に違いがあるのか?について書かれている原著論文である.

 筋肥大の原理とも関係してくるが,筋の収縮に伴う筋の微細損傷は避けられない為,収縮様式との関係性を研究する事に関して,非常に現場セラピストとして興味のある内容だと感じた.

 求心性収縮・遠心性収縮だけでなく,収縮時間を考慮した4群に分けて,最大筋出力・筋の硬度・筋の輝度・筋の厚さが比較されている内容である.理学療法学で紹介されている為,概ねの理学療法士は読む事が出来る為,結果に関しては文献の本文,または要旨に一読を薦めたい.

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・ 負荷と総運動時間を統一したため,筋活動量の積分値は4群(上記参照)差違がなかった.
:負荷と運動時間,筋活動量の積分値の関係性がわかりやすく書かれており,筋の微細損傷に直結してくる問題が,負荷と運動時間だと言う考えに至った.わかっているようで,考察ながら筋の増強を明記してある文章は多いも,損傷明示してある文献の少なさを改めて感じた.

残った疑問
・研究が上腕二頭筋でされている為,羽状筋や紡錘状筋,鋸筋では差違はないのか等,収縮という筋出力だけでなく,筋の形状の違いによる収縮時の微細損傷はどうか等の疑問が残った.

 骨や筋・その他組織を考慮する上で,セラピストが筋で悩む機会は多いと思う.だからこそ,新しい発見の研究だけでなく,違いはなかったという研究の数が増える程,医療の発展に気づくヒトも増えるのではないかと感じる.今後も小林氏の追加研究に期待したいと思う.
記事:ひわ