Hip Flexion Angle値にマッサージ部位の違いが及ぼす影響

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Hip Flexion Angle値にマッサージ部位の違いが及ぼす影響
赤澤直紀、原田和宏、大川直美、岡泰星、中谷聖史、山中理恵子、西川勝矢、田村公之、北裏真己、松井有史
理学療法学 第40巻第2号P71〜78(2013年)






 関節可動域(股関節屈曲、膝関節伸展位:以下HFA)とマッサージの刺激部位との関係性及びマッサージの持続効果について検証している内容である。

 この研究からわかることは、「筋腱移行部への刺激を行う事で、関節可動域拡大効果が5分強続くことであり、その状態からどのように生活に活かす運動を施行して行くかが重要だと思う。


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・ スタティックストレッチング後のパフォーマンス低下が報告されているため、スポーツの分野での準備運動時に筋腱移行部へのマッサージ刺激が選択肢の一つに上がる
:赤澤氏等が文献内で著されている今後の理学療法の可能性拡大が、この文献で最も重要なポイントだと思う。
研究の内容は本文献を参考にして欲しいが、「職域拡大もしくは職域の可能性を高めるもの」という研究のあるべき姿を再確認する上で、この文献の一読をお勧めしたい。

 筋腹を触れる必要がないと訳ではなく、関節可動域とゴルジ腱器官からのⅠb抑制刺激には関係性があると言う研究結果を、間違って理解しないよう気をつけたい。

 そもそも身体のコンディショニングは、本来の人間の動きを引き出しているだけであり、骨の変化や筋肉量の増量が起こった結果の可動域拡大とは違う事を忘れては成らないと思う。

記事:ひわ

アキレス腱炎,足底筋膜炎から見た歩行の運動連鎖

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アキレス腱炎,足底筋膜炎から見た歩行の運動連鎖
近藤崇史
PTジャーナル・第47巻第2号・2013年2月 P153-159






 アキレス腱炎・足底筋膜炎を代表疾患として,歩行(踵離地)と足関節・足趾の動きがどのように代償するのか,どのように評価・アプローチするべきかが紹介されている.

 解剖学の基礎から運動学の考えである運動連鎖から説明されており,最終的には著者の行っている評価・アプローチ・考察が丁寧に説明してあり,非常に応用性の高い情報が著されていると思う.

特に歩行の踵離地が遅れるという現象を,
・ 歩行時の身体重心と床反力作用点
・ 股関節・足関節・足趾モーメントの力学作用
・ 足関節とMP関節の関節運動
の部分は上記疾患に限らず歩行を考える上で,踵離地タイミングが遅滞するとどのように重心,力学作用,関節運動が生じるのかの理解を促す為に,一読をお勧めしたい.


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・ アキレス腱炎・足底筋膜炎の評価
関節可動域・筋力等の機能評価,歩容等の能力評価は,直接的に結びにくく統合と解釈が難しい.障害の度合いや治療の効果判定を行う上で歩行と機能障害の中間に当たる評価が必要.
:実際の重心や体幹と股関節の伸展モーメントを考えた評価については,図も用いて説明してある為,文献を参照して欲しい.私が着目した部分として,理学療法評価法に基づく評価は再現性を考慮しても重要な項目ながら,現場において動作性と機能評価の橋渡しに当たる評価が紹介されている部分である.この部分を考察し試行錯誤して,治療アプローチを考えていく事がセラピストの醍醐味の部分でもあり,セラピストの治療結果の差が出る部分だと思う.

 教科書にはなかなか紹介されず,先輩に聞いても端的に教えてもらう事もない情報であり,「セラピストの頭の中で,どのように捉えているのか」を教えてくれる文献だと感じた.
記事:ひわ

脊椎椎体骨折と脊柱後弯変形のバイオメカニクス

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脊椎椎体骨折と脊柱後弯変形のバイオメカニクス
坂本二郎,田原大輔,村上英樹,川原範夫,冨田勝郎
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.12 P1148-1154






 題名の通り椎体骨折と後弯変形に対して,脊柱の基本から椎体骨折の解析,バイオメカニクス目線での骨折予防について書かれている.

 脊椎動物の進化から力学的特徴が書かれている点が,斬新で非常に興味を引いた.

 この文献の面椎体骨折の解析として,縦方向へ1000Nの力を加えて圧縮し,椎骨の力学特性を図とともに参照して欲しい.

 忙しいセラピストであれば,アブストラクトに類するQ&Aで,脊椎アライメント異常による弊害の疑問に答えてくれるような内容になっている為,忙しいセラピストはこの部分だけでも一読をお勧めしたい.

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・ 脊柱の力学
高い可動性=荷重の複雑さ
:安定の対義に可動があるのと同じく,可動性が高いという事は,荷重時の複雑さを伴うという部分が,当たり前のようで気づいていない部分であった.

・ 第12胸椎椎体骨折(骨粗鬆症)患者が姿勢改善・視界確保による代償姿勢をとると,直立〜屈曲位では脊柱起立筋の筋出力が大きくなり,次いで椎体にかかる力が大きくなる.
:骨折による代償姿勢が,さらに悪化の経緯をたどるという部分は,セラピストとして考察していかないとならない部分であり,解析データによる医学的証明がなされているのであれば,是非知るべきであると感じた.
 
 患者様を評価し,推測や考察を元に治療を行い,医学的エビデンスに基づく改善と回復におけるリーズニングをするプロセスが求められているが,この文献は推測・考察から治療プログラムを立案するまでの思考を助けてくれる内容になっていると思う.
記事:ひわ