臨床15年目のセラピストの触診技術は習熟しているのか?

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臨床15年目のセラピストの触診技術は習熟しているのか?
門脇正朋,北見真生,白石吉彦
第15回島根県理学療法士学会 抄録演題





 いわゆるベテランといわれる10年目以上のセラピストの触診技術と臨床経験2年目のセラピストが超音波画像診断装置を併用した触診技術の精度を比較検討した内容である.

 無作為に決定した筋・靭帯に対して触診によるランドマークガイドによるトレースと,超音波診断ガイドを用いながら触診・トレースした結果を,超音波診断に精通した医師による確認を行う流れである.

 筋を触知するのみであれば,超音波画像診断装置を使用した方が,正確性が高いという結果があるが,この結果からセラピストが何を得るかが重要であると感じた.

 解剖学・運動学・生理学を基盤とした触診技術は,人間の生体型が変化しない限り常に磨くべき技術である事は間違いないと思う.情報のアップデートというよりも,技術の最適化という行為が重要であり,復習を要する事はセラピストが常に体感している部分だと思う.

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•門脇氏の言葉を借りるならば,診療業務の大部分が手を媒体として行われている以上,構築された理論を自らの手で再現する事が重要であり,未熟な触診では安定した治療成績を提供する事はできない.端的な表現ながら演者の強い思いが感じられる内容ある.

 5年目以降のセラピストが触診に関する勉強会に参加する率が著しく低下する現状に対して警鐘を鳴らす非常に面白い研究だと感じた.
記事:ひわ



前額断・矢状断の脳画像からみえるもの

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前額断・矢状断の脳画像からみえるもの
吉尾雅春
PTジャーナル・第49巻第4号・2015年4月 P335-347






 脳画像の見方として,前額断・矢状断のスライス参照線と脳の部位の繋がりを説明してあり,実際の脳画像を用いて捉え方が簡単に説明している内容である.

 図が多いため,文章と図を追って丁寧に読めば理解につながる構成である.

 入門講座とあるが,おそらくほとんどのセラピストにおいて,復習や勉強の意味合いで参考になる内容だと思う.まずは基礎と基本から解剖学の領域から捉え方という臨床のステップになると感じる.

 この文献に関しては,一読をお勧めしたいというより,セラピストとして知っておくべき内容であり,短絡的なHow toを知るべき勉強よりも,地頭から役に立つ内容で500円(文献単体の金額)以上の価値が間違いなくあると感じた.

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・ 投射線維・連合線維の走行は線維のスタートとゴールを無理のない流れで繋げることが重要である.
:頭蓋骨という空間で最大限の神経線維が力を発揮する為に上記の理解が重要という部分は,納得の一言だと思う.

 2Dから3Dへのセラピストの転換が重要で,解剖学の理解から臨床で捉えるレベルまでの支えになる情報だと思う.吉尾氏も「おわりに」で述べているが,知識の整理の重要性と日常の臨床経験の積み重ねが重要であると非常に共感する.現場で何を考えて評価し,アプローチにつなげるのか,その何かの質を見直す必要があると改めて感じた.
記事:ひわ



疾患別画像から症状を読む②脳出血

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疾患別画像から症状を読む②脳出血
前島伸一郎 大沢愛子 棚橋紀夫
JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.21 No.6 2012 P526-531






 高血圧性の脳出血、器質的疾患での脳出血の発生機序が概要で、好発部位のCT画像や、起こる可能性のある神経症状・高次脳機能障害が説明されている。

 図1リハ依頼のあった初発脳出血の原因と高血圧性脳出血の病変部位は、新聞でも引用されそうなほどまとまっているので、1度は目を通しておきたい。

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・ 被殻出血
限局した20ml出血→失語、失行、高次脳機能障害は「なし」「軽度」が多い
30ml出血→失語、失行、高次脳機能障害は「残る」が多い
50歳未満では血腫50mlあっても、一過性で終わる例もある。
→出血量で症状の残存の可能性を示唆する方法は初めてで、大まかな把握としては簡便でかつ有用だと思う。しかし、出血量って簡単にわかるのだろうか・・・?

 臨床現場において、出現してしまった症状からどの部位に病変があるのかを推測する事は多々あると思う。
 だからこそ、起こりうる病変や、一過性で消失する場合の多い症状など、知識のストックは増やすべきだと考える。

 知っているか、知らないかは大きな差となる。ならば知る上で、脳出血をわかりやすく説明してくれている文献だと思う。
記事:ひわ