難治性肩関節拘縮(肩関節周囲炎)の治療

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難治性肩関節拘縮(肩関節周囲炎)の治療
米田稔,阿部真行,田中健毅,永富孝幸,山田真一,佐原亘
日整会誌(J.Jpn.Orthop.Assoc)88:248−256 2014






 肩関節周囲炎の治療方法について,医師の視点からどのように診断に繋げていくのか,治療プログラムを立てるのか,スタッフへの指示,患者の指導を行うのかが書かれている.

 治療結果からの統計と考察が書かれている為,内容も理解しやすい作りとなっている.図も多くわかりやすいが,医師がどのように肩関節周囲炎を判断し,運動療法指示を出すのかという部分も含めて,是非一読をお勧めしたい.

 読む時間がないのであれば,「まとめ」の部分だけでも是非目を通して欲しい.


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・ 肩関節周囲炎を難治性に陥らせてしまう要因の一つとして,発症初期における積極的すぎる誤った運動療法が挙げられる.
:肩関節の動作性を高めるのではなく,姿勢から静止アライメントを整え,体幹屈曲・伸展・回旋や腱板・周囲のアウターマッスルの筋緊張を緩和するように努める.さらに等尺性収縮を中心に行い,関節の固定を促す事で,炎症や関節内の組織が細胞レベルでの修復した時期に,関節運動を行うべきかと読んでいて感じた.

 セラピスト初期介入の誤りから,難治例となってしまう事は避ける必要がある.そのためにも,解剖学の知識だけでなく,ミクロな視点での回復過程を考察する為の生理学,関節負荷を下げる動作を考える為の運動学をフル活用する必要性は言うまでもないと思う.

 医師の業務を理解するわけではなく,医師がセラピストに指示出す際にどこに着目しているのかという部分を感じるきっかけになると思う.
記事:ひわ

人工股関節置換術術後患者の骨盤アライメントと歩行中の重心移動の関連性

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人工股関節置換術術後患者の骨盤アライメントと歩行中の重心移動の関連性
南角学,坪山直生,秋山治彦,安藝浩嗣,中村孝志
理学療法学 第37巻第1号 P29-34(2010年)







 題名のごとくTHA術後患者様の骨盤アライメント・歩行中の重心移動がリンクしている事を評価し,考察されている内容である.

 THA術後患者様を床反力計・3次元動作解析装置を用いて,重心移動幅・重心移動のパターン・歩行速度と一歩行周期,重心の仕事量を計測して,重心の動揺幅と骨盤アライメントとして骨盤前傾角度を算出して考察している.

 結論では重心移動と骨盤アライメントの関連性から評価・アプローチが重要である事は感覚的にも理解できるが,「どのように関連性があるのか?」という部分の考察をTHA術後のリハビリテーションに関わるスタッフに一読を勧めたい.

残った疑問!
・ 徒手筋力テストにおいて術後の術側股関節外転・伸展筋出力poor,術側股関節屈曲fair
:徒手筋力テストにおけるfairとzero,trace以外の結果では,主観的な評価のため肢位によっての誤差が生じてしまう為,再現性を高める為に是非,評価肢位まで知りたいと感じた.

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・ 臥位でのX線画像(股関節正面)骨盤アライメントと重心移動からみた歩行能力と関連している.
:術前の画像診断だけでなく,術後の画像情報が運動療法プログラムを立案する際に重要な情報である事を,現場スタッフは常々感じている事だと思う.経験だけに頼らず,画像からの身体情報を収集する習慣の重要性を改めて感じる.

 THA術後の重心移動パターンやその代償をとる為のプロセスを,大型機器を用いて,さらに複雑な計算から現状を紹介している文献だが,多大なる時間を要した事と思う.その時間を要した研究情報を共有し,自分の職域で活かす事は医療職として当然であり,重要である事を改めて感じる.
記事:ひわ



変形性股関節症からみた歩行の運動連鎖

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変形性股関節症からみた歩行の運動連鎖
湯田健二
PTジャーナル・第47巻第1号・2013年1月 P63-71






 変形性股関節症の歩行と運動連鎖について,健常の歩行状態と比較しつつ,歩行の各相に分けて考察が紹介されている内容である.

 なぜ変形性股関節症になると股関節の由来の前方への出力が遅くなるのか?という問題点に対して,1つの相が原因でなく,各相での問題点から動作が不十分になる過程が順序立てて書かれている.

 非常に内容が濃く図を多く使用している為,理解しやすい作りになっていると思う.運動力学から筋まで触れており,いわゆる正常歩行と変形性股関節症の歩行を比較している為,情報量が多く,じっくり読み込んで誤解しないように注意は必要だと感じた.

 前額面と水平面の情報も記載されているが,矢状面での関節モーメントの話が中心である.

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・ 運動連鎖という言葉に踊らされず,解剖学・生理学・運動力学・心理学に基づいて,身体運動学的視点に立ち,全身がどのように協応し,運動を達成しているのかを考える事が重要である.
:身体の基礎の理解と動作からどのように考えるのか?という部分で本文献は「歩行」に着目してあり,例から運動連鎖の理解を深めるには非常にわかりやすいと感じた.

・ トレイリングポジション
立脚中期から後期にかけて,体幹に対して股関節伸展位を保つ姿勢
:上記が図を用いて説明してある為,図と共に文献を参照して欲しいが,このトレイリングポジションをとる事が出来るからこそ,矢状面・前額面においても動作効率の良い歩行に繋がる事を理解する必要がある.
記事:ひわ