言語のモジュール仮説

脳図.png

言語のモジュール仮説
金野竜太,酒井邦嘉
総合リハ42巻・1号・27~33・2014年1月







人間の言語処理過程を脳における言語機能ネットワークとともに説明してる文献である.

言語のモジュール仮説を図やfMRIから脳内での機能部位を説明しているので,非常に参考になる.脳の専門的な用語を理解した上での説明がなされている為,勉強の導入としては難しい内容かと思う.

腑に落ちた画像.png
・(結論は出ていない)
音韻語彙的意味処理:単語レベルでの言語処理
聴覚的音韻処理:後上側頭回(ブロードマン22野)
語彙的意味処理:縁上回・左角回
統辞処理:文及び会話レベルでの言語処理
 左下前頭回・左運動前野外側
:統辞を文法の処理と解釈したものの,未だ研究者の中でも討論している内容が紹介されている部分は,現場の療法士として知っておく必要があると思う.だからこそ文法や文理解を踏まえたうえで,どのように声かけをするのかを患者様で考察する必要がある.そのレスポンスで,脳血管障害という大まかな情報から,画像診断前に推測する事のヒントに繋がると思う.

・ 文理解時の統辞処理の神経機構
○が×を押している (能動文)
×が○に押される  (受動文)
×を○が押している (かき混ぜ文)
:現象としては同じ現象ながら,言語により処理する主の部位が変化(左下前頭回三角,左上/中側頭回,左外側運動前野)し,信号変化量の違いを図を用いて説明している.

ヒトと関わる上で,言語は可能であれば使用するべきツールである.だからこそ身体機能を高めることだけに捉われず,言語理解を促すよう自分の声かけを考え直すきっかけになる文献だと思う.
記事:ひわ



脳科学からみた運動学習

脳図.png

脳科学からみた運動学習
森岡周
理学療法学 第38巻第8号 P553−554 (2011年)







 運動学習の種類、運動学習戦略から機能解剖に基づく運動機能に関し、森岡氏がオープンセミナーで講義した内容を文章に落としたもの。

 簡単にまとめられる内容ではなく、じっくり読んでも難しい。が、非常に興味深い内容が書かれており、運動学習の興味、理解をそそる。

腑に落ちた画像.png
・ 強化学習
:ドーパミン神経細胞は行動を起こした時に得られるであろう報酬量と行動結果に合わせ興奮し、興奮に比例してシナプス伝導効率を向上させる。
→思っていたより成果が上がれば正の強化(予想通りでは正の強化は生じない)
 予測より成果が得られなければ負の強化

・ 正の強化
黒質、腹側被蓋野でドーパミン神経細胞興奮→側坐核とシナプス結合→快情動→正の強化→運動パフォーマンスが向上→側坐核、線条体、扁桃体、前頭前野が活性化

 腑に落ちた瞬間に、快情動が起きるのがわかる。まさに前頭前野が賦活している感覚が体感できる。
 
 そもそも教師あり学習になれてしまっている教育に、教師なし学習をどのように導入するか?私たちが求められているのは、いかに能動的に課題を取り組んでいただけるように、進めていくのかが重要になると思う。

その他 運動学習の理解も促したい。
記事:ひわ



運動学習に対する主観的判断の正確性

脳画像.png

運動学習に対する主観的判断の正確性
平井達也,牧迫飛雄馬
理学療法学 第40巻 第16号 2013 P421-428






 運動学習の主観的判断について,若年者と高齢者を比較し,正確性や予後予測を数値化した内容である.

 表題にある研究に加え,運動学習におけるセルフモニタリングの重要性や,その関係性が「はじめに」で詳しく紹介されている為,非常に面白いと思う.

 ヒトの脳機能・運動学習についてパソコンに近いものとして,個人的に理解を深めていたが,文献内に私にはない発想で脳機能の解釈が書かれており,個人的に気づきの多い文献であった.

 若年者と高齢者を比較して,若年者が運動学習の予測精度が高そうだという「やっぱり」に近い結論ながら,「やっぱり」と思う推測を証明することは非常に難しい事だと文献を読んで改めて感じた.

腑に落ちた画像.png
・ ワーキングメモリーを絡めたフィードバック情報の統合に関して,ワーキングメモリーの保存能力と新規情報の追記がうまくできず,運動学習の正確性が下がった。
:運動学習の主観的判断においての一考察ながら,個人的にはワーキングメモリーの捉え方として,Word形式のように既存の情報へ新規情報を上書きしているものと考えていたが,「情報の保持と新規情報の統合がワーキングメモリー内で行えない」事から,情報の統合する機能はPDF形式の処理に近いものと感じた.

 平井氏も書かれているように,患者様への治療プログラム難易度決定に関して,客観的な基準や指標は確立されていないように感じる.だからこそ患者様の主観的な判断の精度を理解することが重要であり,プログラムを提示する上で主幹になる部分だと思った.
記事:ひわ