下肢切断を有する脳卒中のリハビリテーション

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下肢切断を有する脳卒中のリハビリテーション
陳隆明
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.23 No.2 2014.2 P143-147






切断と脳血管障害について予後・合併症・機能予後を見極めるポイント等が,症例紹介と共に紹介されている.

 高齢者下肢切断者の機能予後の有利な要因,重複障害に関する文献の要約等が紹介されているため,この部分だけでも是非目を通して欲しい.

下肢切断の基本情報
下肢切断の7割は65歳以上で起こる.
切断の原因疾患は下肢末梢動脈疾患である.
脳卒中を合併する比率10〜20%程度
麻痺側・切断側が同側である場合が多い.


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・ 脳卒中では運動失調・空間認知・連合反応等で非麻痺側の片脚立位が難しくなる.複合疾患の場合,高次脳機能・認知機能についても評価を要する.
:当然ではあるが,切断した事によるカウンターウエイトも含めた,重心位置の変化も生じている.この見た目の評価や麻痺だけに囚われず,全身性の評価していく必要がある.

・ リハの成功について
世界的に共通した定義がない
:リハの成功率等の記載があるが,何を持って成功なのか?実用歩行が出来たら成功?FIM120点以上が成功?という定義は,その方のライフスタイル,環境におけるその方の立ち位置によって変化するため,定義を成す事は今後も議論され続ける内容だと思う.そこを考えていく事が,セラピストの仕事ではないかとも思う.

おわりにでも陳氏が述べているように,切断リハに精通したチームアプローチ体制をもつ施設数の増加,リハに関して施設間の連携が求められている.現場のスタッフとして,どのように情報を伝えていく必要があるのか,再考するきっかけになる文献である.
記事:ひわ

ボバースコンセプトの実際と運動学習

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ボバースコンセプトの実際と運動学習
大槻利夫
理学療法学35巻第4号 P182−186







解剖学による基本の復習、大橋氏のスキーマ理論の説明、ボバースの治療・コンセプト、の流れでまとめられている。

 運動学習において要約されているので、運動学習について敬遠している方に導入として非常に読みやすく、入りやすいと文献だと思う。

運動学習の基本。
 教師あり学習(大脳皮質-小脳ループ)
 :目標となる運動課題と実際の運動との差(エラー)を少なくするようセラピストが誘導する学習。
 強化学習(大脳皮質-基底核ループ)
 :運動結果がもたらす成功を増やし、学習が強化される。


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・ 運動学習において、教師あり学習や強化学習などの学習様式は相反するわけでなく、同一の運動課題の学習過程で共同する。
・ Doyon等の報告だと学習の初期は、基底核・小脳・運動野・運動前野・頭頂葉・辺縁系活動がある。
:つまり運動学習初期から、脳全体で学習ループは動作していて、単体で各ループ回路での運動学習が起こるのではないため、明確に分けることが出来ないということも示唆していると思う。

 中枢だけでなく運動器疾患の回復過程を考える上で、運動学習の理論の理解は重要で、臨床で起こる「理由が説明できないが、気付いたら回復してしまった」に対して考えることのできる手段の一つだと思う。

記事:ひわ

リハビリテーションの進め方

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リハビリテーションの進め方
和田直樹
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.22 No.4 2013.4 P347-352







 
 長期経過をたどるパーキンソン病のリハビリテーションの進め方として,症状・重症度にわけて紹介してある.

 治療法の進歩によって,パーキンソン病の生命予後は向上しているが,長期治療による問題点が指摘されている.

 パーキンソン病を有する患者様に対して何を目標とするのかを明確にするに当たり,ADL・QOLの長期的維持,廃用・合併の予防という大まかな前提を忘れてはならないと思う.

 パーキンソン病における運動療法に対して,ガイドライン・病期に合わせた運動療法・運動一覧が表として紹介しており,これだけでも目を通して欲しいと思う.


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・ 在宅患者を診察室やリハビリ室で診る際には,機能的な障害に目がいきがちだが,非運動障害を問診する事が重要
:現場のセラピストでリハビリ室では動けるけど,自宅では動かないという事を耳にする事はあると思う.動かないのか?動けないのか?それは環境のせいか?機能のせいか?精神症状のせいか?等考える事は多岐にわたると思う.当たり前ながら重要な事をさらりと紹介している為,是非一読をお勧めしたい.

・ パーキンソン病の呼吸障害—拘束性換気障害
:円背・胸郭の可動域が関与しているため,全身性のアプローチが重要である事は想像に至る.だからこそ早期から体幹回旋,機能レベルでの筋の柔軟性というミクロな目線という要素も重要だと思う.

 パーキンソン病だから4徴候があるではなく,上記の要素があるから徴候が見られ,拘束性に換気障害が生じやすいと理解する必要があると改めて感じる.
記事:ひわ