便失禁の診断と治療

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便失禁の診断と治療
味村俊樹
消化器科,46(6):607−617,2008







 便失禁について疫学調査結果,診断・原因・検査法・治療法が端的に書かれている内容である.

 便失禁について基本的なポイントから抑えてある為,便失禁導入として非常に有用な文献であると感じる.

 便失禁の原因と障害に関与している因子が表にまとめられている為,この表を一読するだけでもお勧めしたい.

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・ 英文文献:一般住民の1割強〜15%が便失禁を有する
本文献での疫学調査(65歳以上対象):7.5%が便失禁を有し,2%が毎日悩まされている.
:尿失禁と同じく,便失禁も身近に起こりうる可能性が高いと,文献を読めば読むほど感じる.ニオイも含め,羞恥心が行動範囲を狭めていると考えられる.Drだけでなく,Ns,CW,セラピストも含めた現場スタッフが,「便失禁」と結果を捉えるだけでなく,原因を考える事が重要な要素だと思う.

・ 便失禁は腹痛や嘔吐と同様に症状名であり,原因が多数の病態に存在しうる事を明記する必要がある.
:非常に端的な文章ながら,あくまで現象と疾患を区別して記載する必要性を改めて感じる.

 便失禁に関して,私を含め対応に困るセラピストが多いと思う.味村氏が「はじめに」で,「日常に多大な影響を及ぼす病態ながら医療機関を訪れる事は少なく,良性の疾患も患者の羞恥心をおいて,症状が改善する可能性があるという認識が,患者だけでなく医療関係者でも低い為と考えられる.」とある.だからこそ便失禁がなぜ起こってしまうのかを考え,臨床に活かす必要性があると思う.
記事:ひわ