脳卒中片麻痺患者のトイレ動作に関連する動作の難易度

ADL
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脳卒中片麻痺患者のトイレ動作に関連する動作の難易度
坂田祥子,大高洋平,佐藤雅哉,坂上幸子,近藤国嗣
総合リハ・43巻3号・2015年3月 P233-240





 脳卒中片麻痺患者のトイレ動作に関する動作難易度を,右片麻痺・左片麻痺に分けて検討している文献である.

 トイレ動作の構成動作の難易度を,評価票の結果に基づいて解析をしているという,非常に面白い切り口の文献だと思う.

 患者様個々に評価をする必要があるが,この文献を一度読むか,否かで注意すべき視点を知ることのできる為,トイレ動作を最高する上で一読をお勧めしたい.

 トイレ評価票が実際に図として紹介されており,さらに内訳も詳細が載っている為,参考になる施設は多いと思う.考察から結語にかけて坂田氏も述べているが、自施設との差や回復期だけでなく生活期における調査結果が集まる事で、トイレ動作に関しての難易度の調査の精度が高まると思う.

 この研究に使用されている評価票は簡便で,職種に関わらず使用できるが,「介助」が最大評価と最小評価で表現されているので,詳しい動作分析は必須であることは言うまでもないと改めて感じた.

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・ 「下衣上げ」動作の難易度が高い
:当たり前のことながら,体幹の屈曲から伸展に加えた,下肢での固定性と同時に上肢の動作性を同時に行う為,難易度が高いのは経験からだけでなく想像も容易い. 現場では,下衣動作は他者からの見た目の部分も含め,調整すべき点が多く,大まかな動作では不十分な事も多い.

 麻痺があるからなぜ難しくなるのか?という臨床推論をする上で,構成動作を丁寧に分類してある為,知識・視点を増やす為の参考資料として読んで欲しいと思う.
記事:ひわ



脳卒中・脊髄損傷後の神経因性膀胱と排尿管理

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脳卒中・脊髄損傷後の神経因性膀胱と排尿管理
高橋秀寿
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.24 No.9 P904-913






 脳卒中及び脊髄損傷の排尿管理と生理的な膀胱の状態を,正常のメカニズムの機序と共に,疾患の特徴や検査に触れて説明している内容である.

 排尿機能は蓄尿と尿排出の働きであり,どちらもメカニズムを文章と図で説明しており,非常にわかりやすくまとめてある為,図と共に一読をお勧めしたい.

 排尿に関する神経や尿失禁の分類に関して,基礎知識としてセラピストが知っておくべき情報も表にまとめられている.

 トイレ動作や排尿の自立は,ADL項目のうち重要視されるポイントだが,解剖学的な機序の理解に乏しい分野であり面白い切り口の文献だと感じた.

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・ 尿失禁が「間に合わない」,「知らないうちに出る」,体動との関係性,尿意の有無等を問診する必要性がある.
:そもそも膀胱に問題があるのか,ADLの低下により,トイレまで間に合わないという状態なのか,については明確にしないまま,「失禁あり」という結論は医療従事者としてあまりにもずさんであると思う.

 脳卒中の排尿管理の放置が身体機能の回復に関して妨げになるという内容があるも,具体的な内容が記載されていなかった為,臨床推論に加え,機序や解剖学的な知識をより詳しくする必要性を感じた.

 脳卒中と脊髄損傷の排尿障害を例に挙げているが,日本では泌尿器科医との連携が密なセラピストは少ないと思う.しかし,ADLを考える職種として「排尿障害」と「トイレ」という項目の重要性は言うまでもない.だからこその基礎知識であり,ヒトの活動を考えるヒントになる部分だと強く感じた.
記事:ひわ



認知症高齢者の転倒の特徴と予防

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認知症高齢者の転倒の特徴と予防
河野禎之
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.24 No.11 2015.11 P1082-1086





 超高齢社会,認知症の概要から,リスク管理・転倒を地域で暮らしている方と施設入所者に分けて,認知症高齢者の転倒の特徴が書かれている内容である.

 内容のポイントQ&Aがアブストラクトとしてよくできており,認知症と転倒についての理解を深めるには非常にわかりやすいと思う.また,認知症の中で,アルツハイマー病とレビー小体型認知症では転倒の特徴が違う事が簡単に書かれており,非常に面白いと感じた.

 時系列ごとの転倒頻度として表がまとめられており,各施設で転倒の統計を出しているとは思うが,一検討として河野氏の考え方が紹介されている為,自分の職場で応用する事が重要だと思う.

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・ 認知症高齢者は転倒を繰り返しやすい.認知症の進行と共に顕著となる.
:記憶障害の重症化と身体機能の低下という側面がなされているが,認知症高齢者が高齢という加齢による身体機能の低下が背景としてあるものの,その他疾患を有している可能性が高い事や既往歴に関しても考慮する必要がある事はいうまでもないと思う.

・ 長い人生で過ごしている自宅環境はさまざまな物にあふれている.
:認知症に対して環境の変化を求める事は,症状の悪化につながるという医学的情報は耳にする.医療関係者として部屋を片付けるという目線が中心になるが,部屋は人生の一つの履歴である考え方は非常に面白く,動線の整理から考えるという目線が非常に腑に落ちた.

 「おわりに」には河野氏の考え方と思いが書かれており,前述したアブストラクトに加えて,「おわりに」を認知症・高齢者・転倒予防を考慮する上で一読をお勧めしたいと感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 22:53Comment(0)認知症