低栄養患者における運動機能と栄養状態の変化について-NST群とcontrol群の比較

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低栄養患者における運動機能と栄養状態の変化について-NST群とcontrol群の比較
脇野昌司,藤田修平,田端洋貴,西川智子,武田芳夫,藤本美香,辻本晴俊
総合リハ・43巻1号・2015年1月 P51-57







低栄養患者に対し他職種連携でのNSTが関わった事で,どのような項目に改善が見られたか?また,NSTの一員としてリハスタッフがどのように介入するべきかが書かれている.

NSTは70年代にアメリカで開始し,日本では約20年後に開始され普及したと等,NSTの歴史が書かれている部分は,非常に面白い部分だと思う.

アブストラクトによる情報は,NSTが介入する方が虚弱高齢者に対して効果が高いという内容ながら,本文中の栄養に関する情報が,NSTを導入していない施設においても,スタンダードに知っておくべき内容が書かれている.

運動に関してはBorg Scaleでの運動負荷が紹介されているが,あくまで運動中は主観的な評価が中心となる.運動プログラムは身体活動量(Mets)から算出し,患者様毎に算出したエネルギー消費を考慮する必要がある.

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・低栄養高齢者
 病院:約39% 施設(リハビリを要する):約50%
:虚弱高齢者に対し,運動療法及び栄養補給の単独での介入よりも,どちらも組み合わせて介入する必要性が求められている事は想像しやすい.栄養状態なくして運動はできないと感じていたが,まさに証明しくれている文献だと思う.

考察に書かれているが,入院以前の生活や食事,活動性や倦怠感が低栄養状態の前駆症状として現れる事が多い為,運動と栄養の両側面の要素を聴取する能力は非常に重要だと改めて感じた.

課題として補助栄養の摂取タイミングが挙げられていたが,是非知りたい情報であり,脇野氏の今後の追加研究に心待ちにしたい.
記事:ひわ


リハビリテーション栄養学:オーバービュー

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リハビリテーション栄養学:オーバービュー
若林秀隆
JOUNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.20 No.11 P1000-1008






 栄養学の基礎から,リハビリテーション職種も知るべき知識,NSTの意義について書かれている.

 アブストラクトが非常にわかりやすくまとめられている為,本文理解若しくは時間のないセラピストは「内容のポイント」だけでも一読をすれば,考えるべき部分があると思う.

5大栄養素
:糖質,タンパク質,ビタミン・ミネラル,脂質

 アミノ酸の分類等,学生時代に生理学で習ったと感じる内容が多いものの,基礎がわかりやすく図を中心に紹介されているので,是非目を通して欲しい内容であり,普段のリハビリテーションに栄養という側面を加える重要性を改めて感じる.

 後半からは具体的なサルコペニアの分類がされており,活動・栄養・疾患合併に分けて,わかりやすくまとめてある.また,単なる低栄養と筋肉量の低下では理解が不十分で,なぜ筋出力や筋肉量が落ちるのかという部分を見直す必要性があると思う.

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・ 低栄養の割合(詳細は本文参照)
病院:40%弱 施設:約50%
低栄養の日本の慢性期脳卒中患者:約70%
急性期病院で廃用症候群の入院患者:約90%
:総説論文での研究結果は驚く程,低栄養の確立が高いと感じた.アルブミン値を測るだけでなく,なぜ低栄養になっているのか,食事を含めた栄養をどのように捉えるのか,どのように他職種(理想はNSTチーム)と連携を取っていくのか等,考えるべきポイントは多岐に渡ると思う.

 飢餓から窒息死に至る経過が図3にまとめられており,いかに人間の筋量が低下し,死に近づくのかが栄養学の視点から書かれている.その飢餓が患者にとって苦痛か否かという部分ではなく,身体的な変化の過程を理解するに至る非常に面白い文献だと感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 07:00Comment(0)栄養学

パーキンソン病関連疾患患者に対する発症初期から生活期までの理学療法の関わり

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パーキンソン病関連疾患患者に対する発症初期から生活期までの理学療法の関わり
下池まゆみ,笠井健治,石崎耕平
理学療法 第34巻 第8号 2017.8 P718-724







 パーキンソン病に対するアプローチとして,概要から経過,アプローチから着目ポイントが簡潔にまとめてある内容である.

 病態から経過,理学療法の効果,評価,ホーエンヤールの分類別での理学療法の介入方法案,歩行障害に対するポイント,症例紹介と教科書の要点を詰めた構成で,文章も読みやすく簡潔なので,文献読み始めもしくは,パーキンソン病の復習を希望する方の第一選択としてオススメしたい.

 パーキンソン病という疾患を理学療法だけでなく薬物療法の効果について触れてあり,ガイドラインに沿ったアプローチ方法が紹介されている為,参考文献からの検索をかけて,原文を読んで深める読み方を是非推奨したい.

 理学療法の効果として,運動が線条体における脳由来神経栄養因子・グリア細胞由来神経栄養因子の増加する事による神経保護効果が示唆されている部分は,運動における単純な筋持久力や反応速度や筋緊張という目線ではなく,神経生理学レベルでの回復を担う可能性を感じた.

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・ パーキンソン病の診断を0年とした際の20年前から非運動症状が示される
病期が進行し運動症状と非運動症状が生じる.
:時系列での図と共に説明があり,パーキンソン病の運動症状が何かしらの形で5年くらい前から出現し始めているという知見を目にするが,20年前より非運動症状が出現している可能性に関しては,正直驚きを感じる.臨床における4〜50歳代の患者様の動作再現性の低下を,元来の運動機能における筋コントロール性の低下と位置付けていたものが,病期前の症状かもしれないという可能性を示唆する発見が私にはあった.

 今後の課題として挙げられているが,短期集中での理学療法の効果が示されてきているが,開始時期・負荷量・頻度等のエビデンスが乏しい.何より,セラピストの経験に頼りがちな,負荷や頻度の決定する為の評価方法の確立は,パーキンソン病への理学療法を考える上で早期に解決すべき課題だと感じた.
記事:ひわ