脳疾患に起因する視覚認知障害に対する理学療法

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脳疾患に起因する視覚認知障害に対する理学療法
波多野直
理学療法30巻7号 2013年7月 P780-790







 認知視覚障害に対して,臨床でどのポイントに工夫・支援するべきか,目線やセラピストのケアの位置にまで触れている内容である.

 物理的な支援,理学療法士としての関わり方,情報の簡素化,歩行時目線,リラクセーションの方法と留意点,各種視野障害の対応・・・と内容が多岐にわたる為,まずアブストラクトと図に眼を通す事をお勧めしたい.

 10ページを超える内容ながら,技術やHow toでなく,本来セラピストとしてどのポイントに注意して,脳疾患由来の視覚認知障害に関わるか?という原点の部分が書かれている為,臨床においてすぐに役に立つ内容であると感じる.

 リラクセーションを行う際に,視覚認知障害患者が機能不全となりやすい筋が表になっており,さらに簡単な方法やポジショニングも紹介されているので,現行で行っている肢位を見直すきっかけになると思う.


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・ 情報処理の簡素化
1. 視覚情報の整理→目的行為へ集中を促す
2. 声かけの内容を配慮→失敗,拙劣に関する事に注意する
3. 動作練習の流れを分ける→手順の認識を促す
:患者様へのベターな運動療法を提供する為に,過剰な情報を与えすぎない事だと改めて感じる.しかし,簡素化する事と身体的な動きや運動目的を伝える事を混同してはならないとも読んでいて感じた.

 波多野氏も「おわりに」で書かれているが,脳疾患に起因した視覚認知障害をセラピストとして直接介入する事は困難である.だからこそ工夫と配慮を行いつつも,本来あるべき姿勢・運動の介入をする必要がある.技術や経験則だけでなく,しっかりと患者様を捉える事の重要性を改めて感じた.
記事:ひわ

難治性肩関節拘縮(肩関節周囲炎)の治療

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難治性肩関節拘縮(肩関節周囲炎)の治療
米田稔,阿部真行,田中健毅,永富孝幸,山田真一,佐原亘
日整会誌(J.Jpn.Orthop.Assoc)88:248−256 2014






 肩関節周囲炎の治療方法について,医師の視点からどのように診断に繋げていくのか,治療プログラムを立てるのか,スタッフへの指示,患者の指導を行うのかが書かれている.

 治療結果からの統計と考察が書かれている為,内容も理解しやすい作りとなっている.図も多くわかりやすいが,医師がどのように肩関節周囲炎を判断し,運動療法指示を出すのかという部分も含めて,是非一読をお勧めしたい.

 読む時間がないのであれば,「まとめ」の部分だけでも是非目を通して欲しい.


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・ 肩関節周囲炎を難治性に陥らせてしまう要因の一つとして,発症初期における積極的すぎる誤った運動療法が挙げられる.
:肩関節の動作性を高めるのではなく,姿勢から静止アライメントを整え,体幹屈曲・伸展・回旋や腱板・周囲のアウターマッスルの筋緊張を緩和するように努める.さらに等尺性収縮を中心に行い,関節の固定を促す事で,炎症や関節内の組織が細胞レベルでの修復した時期に,関節運動を行うべきかと読んでいて感じた.

 セラピスト初期介入の誤りから,難治例となってしまう事は避ける必要がある.そのためにも,解剖学の知識だけでなく,ミクロな視点での回復過程を考察する為の生理学,関節負荷を下げる動作を考える為の運動学をフル活用する必要性は言うまでもないと思う.

 医師の業務を理解するわけではなく,医師がセラピストに指示出す際にどこに着目しているのかという部分を感じるきっかけになると思う.
記事:ひわ

片麻痺の歩行練習のコツ

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片麻痺の歩行練習のコツ
溝部朋文
PTジャーナル・第47巻第2号・2013年2月 P168-172







 理学療法臨床のコツとして,関節モーメントから片麻痺の歩行を促す原理及び麻痺の捉え方,歩行の考え方のコツが書かれている.

 あくまで本文には答えではなく考え方が書かれており,その運動力学によるアプローチを考える為のプロセス構築が紹介されている為,是非目を通して欲しい文献だと思う.


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・ 歩行とは
立脚側への重心移動→足底から重心を遊脚側へ押す→立脚側への・・・(以降繰り返し)が繰り返されている行為である.
:重心をベースにおいて考えれば,実に的確で簡潔な説明だと感じた.つまり麻痺が生じる事は,重心移動に困難感が生じ,足底からの反力が不十分になるという考え方だと理解した.

・ 荷重時床反力の大きさ×床反力ベクトルと股関節の回転中心の距離
=股関節を内転する方向(詳しくは本文の図を参照して欲しい)
片麻痺により
床反力ベクトルと股関節の回転中心の距離が大きくなる→内転するモーメントも大きくなる
:麻痺側のアライメントの変化により,重心の位置が変化し,安定した立位を保つには,麻痺側の外転により強い出力が求められているという事になる.

 前額面からの説明が多いため,矢状面ではどのような位置に重心があるのか?等を考える必要性がある.運動力学による考え方で,概略を捉える事は患者様がどのように動いているのか?を解釈する上で非常に重要な方法だと改めて思う.まずは,頭の中に絵を想像し,重心がどの位置にあるのかを考慮しながら,「なぜ?」に対するアプローチを考えていく事の重要性を感じる.
記事:ひわ