脳卒中通院患者における下部尿路症状(LUTS)の実態と生活機能(functioning)との関連

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脳卒中通院患者における下部尿路症状(LUTS)の実態と生活機能(functioning)との関連
阿部桃子,佐藤和佳子,大沼歩,野村宏,望月るり子,金原禎子,佐藤滋
日排尿会誌,18巻,2号,2007年:264〜274






 通院している脳卒中患者の下部尿路症状とFIMを含む生活機能との関連性が書かれている内容である.

 理学療法士では「本人へ排泄動作」や「家族排泄動作の介護指導」等に視点が行きがちだが,本文献は,患者が感じている満足度と排尿状態・生活動作を分けて検討している.

 生活動作・身体機能のおけるプロフェッショナルであるセラピストが,本来考えなければならない生活と排尿能力について紹介されている為,下部尿路障害とFIMや下部尿路障害と日常生活満足度がまとめてある表だけでも,一読をお勧めしたい.

 セラピストも排泄の失敗と言うADLの動作だけに囚われるのではなく,排泄失敗に対して,畜尿に失敗したのか?排尿に失敗したのか?の理解から,プログラムを立案する必要を感じる.
例)(あくまで例であるが)
 畜尿失敗→更衣・移動動作緩慢から失敗に繋がった可能性
 排尿失敗→座位安定性や環境設定を行う可能性

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・ 頻用が重度でもADLの自立度は高い.しかし日常性に対しての満足度は低い.
:動作だけを考えてしまえば,「排泄の失敗=自立度は低い」用に考えてしまうが,この文献での調査から排尿管理と階段項目には負の相関性等,下部尿路障害との関係性が詳しく紹介されている.

 医師や看護師への情報提供や,運動療法と併用すべき薬物療法の治療・生活習慣の見直し等,ヒトが生活する事と排泄には関係性が強いと感じる.だからこそヒトに活る事を支援する為には,考慮する事が必須であると思う.
 記事:ひわ



脳卒中症例のストレスコーピングと理学療法

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脳卒中症例のストレスコーピングと理学療法
齋藤圭介,香川幸次郎
PTジャーナル・第47巻第2号・2013年2月 P118—128






 脳卒中後の心理的側面に対するニーズに対して,その対処行動の提案がされている内容である.

 脳血管疾患の精神面に対して,心理的な理解・ストレス・うつ・QOLをキーワードとして分析し,ストレスコーピングの基本概念,理学療法としての関わり方が述べられている.

用語の理解として
コーピングとは
:対処する.
定義的には,自分の力でどうもならない外的な強制と,自分の内部の内的な強制を(もしくはどちらか一方)に対して適切な対処しようとする,認知的な努力と行動的な努力
つまりはストレスから身を守る為に,どのように行動・認知し対処していくかという部分であると解釈した.

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・ QOLの概念から,心理的な側面を含めた支援介入の必要性が主張されているが,理学療法では生活機能ありきで,心理的側面を阻害要因として対応してきている.
:齋藤氏も「おわりに」で書かれているが,ストレスコーピングの理解が今まで配慮していた因子(精神面)に対して,介入する手段となる可能性を秘めていると思う.しかし,ヒトには感情や,他者との社会の中で存在する1人として,常に同一の方法で介入するという事はあり得ないと思う.

 医療というヒトと関わる職種として,ストレスコーピングの理解は,個人のスキルだけでなく,医療の可能性を高める可能性があると改めて感じる.
だが,文献の内容が難しいという事は否めない.再度読み直す予定である.
記事:ひわ



筋力低下に対する軌道上ヒト対象研究

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筋力低下に対する軌道上ヒト対象研究
志波直人
総合リハ・43巻7号・2015年7月 P621-626





 宇宙での生活による廃用症候群と宇宙ステーションという環境下でのトレーニング方法の確立について,書かれている.

 宇宙空間での廃用症候群が問題になる事は,セラピストとして想像はできるものの,重力環境にいる私たちにとって具体性がなく想像しにくい内容が,わかりやすく,また,宇宙空間でのトレーニング方法として,ハイブリッドトレーニングがわかりやすくまとめられている.

ハイブリッドトレーニング(図1を参照して欲しい)
:目的方向への運動時に,拮抗筋へ電気刺激を加えた事で得られる筋収縮を得るトレーニング.主動作筋は自発的な求心性収縮,拮抗筋は電気刺激の遠心性収縮,骨への荷重が生じる.

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・宇宙空間での著しい廃用症候群は,宇宙飛行士の身体そのものが宇宙環境に適応して生じる生理的適応現象であり,臨床での廃用症候群に近い筋骨格系の変化が起こる.
:特殊な環境を利用して,確立されたハイブリッドトレーニングは,物理療法と運動療法を同時に施行するトレーニングであり,理学療法士のまさに専門分野とも言えるのではないかと思う.また,特殊な運動方法である事は間違いないが,廃用予防に対してのハイブリッドトレーニングは現存のスタンダードを変えるトレーニングのヒントになるのではないかと感じる.

 後半の「研究結果の公表」と「おわりに」については科学的な要求と専門家の意見,倫理面を配慮した研究発表のタイミングの重要性が書かれており,大人の事情もある事が察せる.しかし,限られた環境下の中で再評価が行いにくいからこそ,慎重に医学的な根拠と臨床推論の叡智を結集する必要があると改めて感じた.

 多くの目的ある任務を遂行しつつ,次の世代がさらにベターとなるような実験・結果を出すに当たり,配慮を多方面に行う必要性は高い.特殊な環境からの研究ながら,改めて医学のあるべき形を再認識した.
記事:ひわ



posted by ひわ at 00:08Comment(0)概論