身体活動を継続するための患者教育

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身体活動を継続するための患者教育
松本大輔,田平一行
理学療法 第32巻 第2号 2015.2 P153-157






 身体活動の継続を勧める為に,HAPA(Health Action Process Approach)モデル,家族への教育と社会的なサポートについて書かれている.

HAPA(Health Action Process Approach)モデルとは
図1にわかりやすくまとめられている為,ぜひ参考にして欲しいが,
「意図が存在している段階で,具体性のある計画の立案が,行動の予測因子となる」という文をさらに分かりやすく図となっている.

 ヘルスリテラシーを考える上で,リハビリテーションは受動ではなく,患者様の今日までの生活歴を見直す必要が前段階として存在するという理解を統一すべきと感じた.患者様の参加と動態について他角的な評価の一つとしてPRPSも紹介されている為,知っておいて欲しいと思う.

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・ 自己管理を支えるという考え方
現場のセラピストとして,リスク管理をした上でリハビリテーションサービスを提供するだけでなく,専門的な知識技術がなくても実践できる内容を指導する事が重要である.
:自己管理を支えるという視点が面白く,社会参加の制限をどう解除していくのべきかを,セラピスト・患者・家族・ソーシャルサポートを含めた,大きなグループでの関わりの重要になると感じた.

・ リハビリ提供時間
20〜60分 → 1日の内で約1〜4%
:時間の%までは考えた事がないが,如何にリハビリテーションを提供する上で一セラピストとしての質が求められているのかを感じる.

 運動方法は伝えるが,運動継続方法を伝えているのか?という部分に関しては一セラピストとして反省せざるを得ないが,ヒトの活きる事にどのように関わりが持てるのかという点に関して,急性期・回復期からも長期での活動・予後という目線を持つ事は重要だと思う.
記事:ひわ



脳卒中片麻痺患者における体性感覚障害が運動機能に及ぼす影響

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脳卒中片麻痺患者における体性感覚障害が運動機能に及ぼす影響
金子文成
PTジャーナル・第48巻第9号・2014年9月 P809-816






 体性感覚と運動機能の関連性が,基本からロボティックデバイスを用いた研究結果とともに紹介されている内容である.

 体性感覚の回復に関して,前半はレビュー論文に近く,後半はロボティックデバイスを用いた部位の損傷患者別でみた検査結果が紹介されている.

 現場において運動機能障害を有する患者様にアプローチする機会は多い.そこから体性感覚障害をどこまで考察した事があるのかにおいて,前半の情報は非常にわかりやすく有用な情報が紹介されていると思う.
忙しいセラピストであれば,図1と図1を説明している文の見出しだけでも,一読をお勧めしたい.

 実際にロボティックデバイスの部分を読んでみて,本文献の流れとは異なってしまうものの,オペ以外での評価やリハビリ機器としてデバイスを導入する事に関して,再現性の高さを考慮すると重要性を改めて感じた.

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・ 体性感覚の遮断と運動
1. 運動感覚を遮断→単純な出力・関節運動は可能
2. 運動感覚の遮断→複合的な動きの際は非非協調が生じる
3. 運動方向の遠位の予測的な成形の精度が低下
4. 歩行は可能,不規則で非協調
5. 動作中の環境適応能の低下
:体性感覚と運動の関係性について,ここまで簡潔にかつ分かりやすくまとめられている文献は少ないと思う.体性感覚の遮断で問題が生じてしまう,つまり感覚障害における運動機能へ悪影響を及ぼしてしまうのかについても想像がつく.だからこそ体性感覚の捉え方を見直す必要があると感じた.

 「おわりに」で金子氏も述べているが,単に解剖学の関係から感覚障害と運動障害に関して同時に回復すると捉えるのではなく,両者が機能的に関連するという理解が重要だと改めて感じた.
記事:ひわ



脳卒中片麻痺患者における上肢感覚障害と運動療法

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脳卒中片麻痺患者における上肢感覚障害と運動療法
高杉潤
PTジャーナル・第48巻第9号・2014年9月 P817—823






 上肢体性感覚と運動療法の関係性と,体性感覚の改善に対する治療方法を紹介している内容である.

 この文献は体性感覚障害に対して,CI療法,アクティブタッチ,ミラーセラピーの方法や治療効果を紹介している内容の為,これらの治療法を聞いた事がないというセラピストに対して非常にお勧めしたい.特にミラーセラピーの占める範囲が多く,丁寧に説明してあるので,ミラーセラピーを勉強したいというセラピストにも,導入として一読をお勧めしたいと思う.

 本文献中にもあるが,脳血管疾患後の体性感覚の障害に対する運動療法は,方法の紹介はあるもののエビデンスの確立には,客観的なデータが不足していると言える.

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・ 頻度に依存して,一次運動野や一次体性感覚野の神経細胞の性質や領域の変化が生じ,運動・感覚共にシナプス結合が可能となる.
:つまり,運動・感覚ともに回復は同時進行でなされていき,今まで不変とされてきた一次運動野や一次体性感覚野の神経細胞に変容が生じる事が非常に重要な事実だと思う.

 実際の現場において運動機能に関しては脳実質の浮腫等の改善により,明らかに動作へ変化が起こるものの,感覚障害に関して情報は極めて少ないのが現状だと思う.また,感覚障害対する治療に関して,知識不足及び治療時間の制限から,物理療法や表在感覚・深部感覚を利用した感覚刺激の賦活が中心であると感じる.

 運動と感覚は同時に回復をたどるという医学解明に伴い,感覚障害に対する治療法の拡大が,セラピストに課せられた課題の一つだと改めて感じる内容である.
記事:ひわ