女性腹圧生尿失禁に対する骨盤底筋体操,バイオフィードバック療法

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女性腹圧生尿失禁に対する骨盤底筋体操,バイオフィードバック療法
平川倫恵,鈴木重行,加藤久美子
排尿障害プラクティス Vol.19 No.2 2011 P14-20






 骨盤底筋体操の指導方法やアセスメント方法,事例として症例と難値例に分けて経過と共に紹介されている内容である.

 治療結果に三ヶ月程度の継続を要する体操であり,体操を継続する工夫や方法が本文中に紹介されている為,忙しいセラピストはこの部分だけでも一読をお勧めしたい.

骨盤底筋体操での指導の順序
1. 患者に正しい収縮方法,解剖学的な構造の理解を促す
2. 恥骨や尾骨を患者自身で触れ,骨盤帯の位置のイメージを促す
3. (膣内圧を計測できれば)
4. 動作直前に骨盤底筋収縮を促し,収縮をコントロールしつつ動作を行う.

残った疑問!
体操効果の出る「三ヶ月」という期間についても,人間の筋肉強化の原則と細胞レベルでの変化を考慮すると,即効性での変化と遅効性での変化が同時に生じていると推測する必要があるのではないかと思う.


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・骨盤底筋体操の声かけ
「膣をカラダの中に引っ張り込むよう、膣や尿道を締めてください」
「固い便を肛門で切ってください」
「おならを我慢するようにして下さい」
:どれも同一動作(骨盤底筋の収縮を促す)の声かけながら,患者様の反応と代償運動や肢位を考慮し,どの指示が入力し易いかを会話を交えながら,把握する必要性は高いと思う.

「肥満や自身での収縮感覚が低下していた結果→手術」,の流れが,難治例と表現される事が適切か否かは判断できないが,保存療法で回復方向へ成果が出るのであれば,セラピストとして自主練習を続けていく方法を,患者様に合わせて提案できるよう思考する必要はあると思う.
記事:ひわ


転移性骨腫瘍のある患者の理学療法の進め方

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転移性骨腫瘍のある患者の理学療法の進め方
中村大輔,島津尚子,畠中泰司,水落和也,松宮美奈
PTジャーナル・第45巻第5号・2011年5月 P391-397






 転移性骨腫瘍の基礎から理学療法の注意点,目標設定の仕方等のまさに運動療法の進め方に関しての考え方が紹介されている.

 骨転移の概要,骨の変化,発生頻度や好発部位から評価,ゴール設定,動作指導等が順序立てて書いてある.また,動作に関しては,症例を用いた理学療法の実際と図を用いて(寝返り・起き上がり)説明してあるので,是非,一読をお勧めしたい内容である.
 
 忙しいセラピストであれば,表1の骨転移を有する患者様へアプローチする上での確認項目として非常に簡潔にまとめられている為,表1だけでも目を通して欲しいと思う.

 転移性骨腫瘍を有する患者様やご家族へ,リハビリテーションの進め方であり,捉え方である為,絶対的な方法じゃないという注意点も説明しており,目線を教えてくれる非常に分かりやすい内容だと思う.


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・ 転移における骨の変化
溶解性の変化:破骨細胞の活性化により骨吸収の促進による
造骨性の変化:骨折と同様の損傷部位の骨新生による
混合性の変化
:つまり,骨吸収が優位であれば溶解性の変化であり,造骨が優位であれば造骨性の変化が生じる.文献内では,骨の変化が何癌に多いのかが紹介されている為,患者様の状態に関してセラピストとして,「なぜ痛みが出ているのか」という考察に対してのヒントになると思う.

・全癌患者の10%程度に骨転移が診断される
:骨転移のリスクを考慮する上で,原発部位と予後の理解は必須だと思う.10%に骨転移の可能性があるという,知っておくべき知識だと思う.

 疼痛に関して,骨や動作による疼痛はセラピストとして,第一に考えてしまう点だと思う.しかし,予後や家族との別れも含めた患者情報に加え,社会・環境・身体というICFで考えるべき情報全てを考慮する重要性を改めて感じた.
記事:ひわ

posted by ひわ at 23:26Comment(0)

便失禁の診断と治療

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便失禁の診断と治療
味村俊樹
消化器科,46(6):607−617,2008







 便失禁について疫学調査結果,診断・原因・検査法・治療法が端的に書かれている内容である.

 便失禁について基本的なポイントから抑えてある為,便失禁導入として非常に有用な文献であると感じる.

 便失禁の原因と障害に関与している因子が表にまとめられている為,この表を一読するだけでもお勧めしたい.

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・ 英文文献:一般住民の1割強〜15%が便失禁を有する
本文献での疫学調査(65歳以上対象):7.5%が便失禁を有し,2%が毎日悩まされている.
:尿失禁と同じく,便失禁も身近に起こりうる可能性が高いと,文献を読めば読むほど感じる.ニオイも含め,羞恥心が行動範囲を狭めていると考えられる.Drだけでなく,Ns,CW,セラピストも含めた現場スタッフが,「便失禁」と結果を捉えるだけでなく,原因を考える事が重要な要素だと思う.

・ 便失禁は腹痛や嘔吐と同様に症状名であり,原因が多数の病態に存在しうる事を明記する必要がある.
:非常に端的な文章ながら,あくまで現象と疾患を区別して記載する必要性を改めて感じる.

 便失禁に関して,私を含め対応に困るセラピストが多いと思う.味村氏が「はじめに」で,「日常に多大な影響を及ぼす病態ながら医療機関を訪れる事は少なく,良性の疾患も患者の羞恥心をおいて,症状が改善する可能性があるという認識が,患者だけでなく医療関係者でも低い為と考えられる.」とある.だからこそ便失禁がなぜ起こってしまうのかを考え,臨床に活かす必要性があると思う.
記事:ひわ