蓄尿障害に対するアプローチ –介護老人保健施設にて

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蓄尿障害に対するアプローチ –介護老人保健施設にて
渡邊基子
OTジャーナル 46(5):456−460.2012






 蓄尿障害に対して老健施設での取り組みを,3例の事例紹介を元に対応とその判断方法が紹介されている内容である.

 施設での対応が,実際の利用者様の生活側面が文章で書かれており,どのように失禁が生じていたのかがストーリーになっているので,この文献が読みやすく現場で活きる内容になると思う.

この文献のキーポイントである排尿トラブルの定義
:身体的,心因的,社会的に多大な影響があり,QOLだけでなく活動制限や参加制限の原因となりかねない


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・ 高齢者における尿意の低下
→おむつ使用の入り口→おむつにより尿意低下が助長
:おむつ≠悪であり,身体機能や精神機能,また家族の介護負担も考慮して,必要な部分へのおむつ使用は,非常に有用だと思う.単純に失禁があったからおむつや身体機能が落ちたからおむつという考えに至っては,医療者側として不十分だと思う.

・ 事例2が非常に印象的で,1日1回のリクライニング車椅子への離床から,景観栄養中にソファーへの座位時間をもうけ,車椅子座位獲得に繋がった.さらに,現場から定時での排尿や排便状況からリハ時間の検討という最良の意見が出てポータブルトイレを使用開始する.(詳細は文献参照)
:身体機能の向上を考える職業としてうれしい状況だが,患者様が生活している活きた最高の情報を,現場からリハビリサイドへ意見が出る環境を構築されている施設が非常にすばらしいと思う.

渡邊氏が文献から伝えたかった部分とは違うかもしれないが,チームアプローチという「単なる言葉」だけでなく,多職種欠けてはいけない関係性の構築の重要性を改めて感じた.
記事:ひわ



蓄尿障害に対するアプローチ –急性期病院にて

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蓄尿障害に対するアプローチ –急性期病院にて
上村智彦,小澤恵美,上村啓子,酒井千穂
OTジャーナル 46(5):450−455.2012







 蓄尿症に対して,急性期病院内で排泄ケア委員会の立ち上げから,マニュアルを元に多職種連携している実際の取り組みを紹介している内容である.

 基礎の説明から症例紹介があるため,詰まる事なく読みやすい流れができている.

 失禁タイプ別の対応方法として,骨盤底筋群体操だけでなく,運動指導方法や失禁予防方法が詳しく対応が紹介されている.さらに,機能面だけでなく環境因子にも触れているため,ヒトと関わる上で知識として是非一読してほしい内容になっていると思う.

 排泄動作の評価・対応方法が図の一覧となっており,チェックシート方式になっているので,現場において多職種への情報提供にも明確にかつ存分に参考にできる.

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・ 排尿パターンから失禁の可能性を減らすよう運動前に排尿をすませる指導を行う.
咳やくしゃみ時には外陰部(男性は陰茎つけ根)を衣服の上から強く抑える指導を行う.
:どちらもあくまで腹圧性尿失禁対策の指導の内容である.どちらも失禁がしないような対応ではなく,失禁の可能性を減らす指導である事を理解する必要がある.一度の失禁で,自尊心を痛める事や家族の不安感を助長させてしまう事もあり,「失禁の確率を減らす事」として,セラピストが知識を有する事は大事だと思う.

 上村氏らも文末にあるが,排泄動作と家庭復帰は非常にリンクしているだけでなく,患者様とその家族のQOLに深く関わっていると思う.自尊心だけでなく,満足した医療に繋がるため,各職員が思考すべきポイントになるのは間違いないと思う.
記事:ひわ



社会の要請に応える理学療法学教育

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社会の要請に応える理学療法学教育
内山靖
PTジャーナル・第50巻第8号・2016年8月 P713-722






 専門職としての養成の成り立ちから,学校教育の特色・教員への教育を含めた実状について,社会の要請から応える為にどのようにするべきかという目線で書かれている.

 特集に沿った内容ながら,現場のセラピストが臨床で考えきれてない内容が書かれており,一人のセラピストとして知っておくべき内容が詰まっていると感じた.

専門職の3重契約
・ よき市民である事
・ 専門職として個別の対象者へ十分な帰結と満足感を提供する事
・ 専門職集団として社会の要請に応える事
専門職の言葉の成り立ちからも,医療分野でセラピストとして専門職を名乗る以上知っておかないといけないと思う.3重契約は間違いなく現場に直結して求められている文言である事を知る機会になった.

 高校生から養成校への入学,そして養成校の在り方と教育方針,教員の資質と教員の教育についても書かれており,社会の要請に応える為の協会努力が伺われ,一人のセラピストとしてではなく,一人の国歌資格保持者として何をするべきかのヒントがこの文献にあると感じた.

 国立大学の特色・強みを生かした強化に関して,表になっている為,一読する事で国立大学での教育の違いがわかり,知る事の面白さがわかるのではないかと感じた.

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・健康寿命の延伸を実現するために理学療法への期待
:身体機能不全や活動制限の方だけでなく,予防という観点からも教育・産業保健領域を含み,地域社会で健康増進を図る必要がある事が明記されており,端的ながら実に必要な事がまとめられている.また,妊産婦死亡率の軽減等の内容も書かれており,日本では欧米諸国との保険制度の違いから充実しているとは言い難いウィメンズヘルス領域にも国家として目が向けられているという事が想像できた.

 短絡的なものではなく,セラピストが協会・社会から求められている事を知る事から,健康寿命の延伸や予防が始まると思う.現場のセラピストが臨床実習指導時等で学校教育への責任転嫁ではなく,教育−研究−臨床で,どのように後輩が育つ環境を作れるのか?そのヒントは,セラピスト一人一人の研鑽なくしては叶えられないものと,文献を読んでいて改めて感じた.
記事:ひわ



posted by ひわ at 00:21Comment(0)概論